中国7.7%成長に減速 1~3月、景気回復足踏み

【北京=大越匡洋】中国国家統計局は15日、2013年1~3月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前年同期に比べ7.7%増えたと発表した。成長率は12年10~12月期から減速し、景気回復に足踏み感が出ている。地方のインフラ投資は堅調だが、企業の生産や個人消費は力強さを欠き、持続的な安定成長への道筋を描けるかはなお不透明だ。
1~3月期のGDP成長率は、日本経済新聞社と日経QUICKニュース(NQN)が共同で実施した市場調査の平均(8.1%)を下回った。中国政府は12年後半から景気下支えのためにインフラ投資の認可を加速。12年10~12月期の前年同期比の成長率が7.9%と8四半期ぶりに改善したが、13年1~3月期は再び0.2ポイント鈍化した。
13年1~3月期の成長率を前期比でみると、1.6%にとどまった。12年10~12月期の2.0%と比べて伸びが鈍り、年率換算では7%を下回る水準となっている。
堅調な投資が引き続き景気の下支え役だ。鉄道建設などを中心に1~3月の固定資産投資(農村部を除く設備投資や建設投資の合計)は前年同期比20.9%増。12年通年の水準(20.6%増)を上回った。輸出も東南アジア向けなどが好調で、1~3月は前年同期比18.4%増えた。
ただ、企業活動の勢いは鈍く、1~3月の工業生産は9.5%増と1けたの伸びに落ち込んだ。企業の生産活動をより正確に映し出す発電量の伸びをみると、1~3月は前年同期比2.9%増にとどまった。12年通年の水準(4.7%増)を大きく下回っている。
投資と並ぶ内需のもう一方の柱である消費も盛り上がりを欠く。消費動向を示す社会消費品小売総額(小売売上高)の1~3月の伸びは12.4%。1~2月の伸びと比べてほぼ横ばいだが、12年の水準(14.3%増)に届いていない。反腐敗運動に伴う倹約徹底が高級食材だけでなく、幅広い分野に影を落としている。
中国政府は3月の全国人民代表大会(全人代)で、13年の経済成長率の目標を前年と同じ7.5%に据え置いた。いまのところ年間成長率は8%台に乗るとの見方が多いが、外需の先行きが不透明なうえ、国内でもH7N9型の鳥インフルエンザウイルスの感染者が北京にも広がるなど、経済活動への新たなリスクも出ている。