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女流将棋界で対局ボイコット騒動 プロ資格巡り対立

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女流将棋界が混乱を極めている。日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会(LPSA)という2団体の、プロ資格をどう考えるかという意見の対立が対局ボイコットにまで発展。スポンサーやファンまで巻き込む騒動となっている。

30日午前、東京・将棋会館の対局室に異様な光景があった。女流最高峰のタイトル戦、第6期「マイナビ女子オープン」の準決勝に臨むべく盤の前に座る女流棋界のスーパースター、里見香奈女流四冠。その向こうに、対局相手である石橋幸緒女流四段(LPSA代表理事)の姿はない。定刻の朝10時を1時間過ぎても石橋女流四段は現れず、規定により里見女流四冠の不戦勝となった。携帯電話向けの有料(月額約300円)中継サイトでは、一手も進まないままに中継が終了した。

女流将棋界には男性棋士も所属する日本将棋連盟とLPSAの2団体があり、それぞれに所属する女流棋士が、6つある女流タイトル戦に出場している。相撲界に例えれば「部屋」が2つ、「場所」が6つということになる。LPSAは、2007年に将棋連盟から一部の女流棋士が独立する形で発足した団体だ。

騒動の発端は昨年7月。LPSAは新人女流棋士として19歳の渡部愛さんを「プロ(女流3級)」と認定した。だが将棋連盟は、将棋連盟の女流棋士育成機関である「研修会」を優秀な成績で卒業しない限りプロとは認めないとの立場をとった。将棋連盟から独立したLPSAに所属する女流棋士は、基本的に将棋連盟の研修会を抜けてプロになった人たちだ。渡部さんは、LPSA独自の基準で認定した初の新人だった。

両者の主張が平行線をたどる中で昨冬、マイナビ女子オープンのスポンサー契約の更改に関する話し合いが始まる。渡部さんをプロとして出場させるか否か。支援企業である就職情報会社のマイナビも含めて議論されたが、将棋連盟とLPSAは折り合わない。マイナビは一貫して「両者で話し合って決めてほしい」と言い続けた。

話し合いは進展せず、LPSAは「渡部さんを出場させないならマイナビ女子オープンに参加しない」と態度を硬化。29日には代表理事の石橋女流四段らが記者会見を開き主張を公表。冒頭のように、石橋女流四段が準決勝の対局をボイコットする事態になった。新人の加入しない組織は立ちゆかない。団体の存続がかかるだけに、LPSAがこの問題にこだわるのは理解できる。

LPSAには「若い渡部さんをみんなで守ろう」との思いがある。その思いは尊いが、今回の問題の本質はそこにない。渡部さん個人に非があると考える関係者は誰一人いない。アマ時代の実績を見ても、女流プロとして十分な棋力があるとの見方が大勢だ。

将棋連盟が疑問視するのはLPSAのプロ認定基準。「LPSA独自棋戦での優勝」などがその基準だが、将棋連盟の「研修会を優秀な成績で卒業すること」に比べハードルが低いと見る向きは多い。青春のすべてを将棋にささげながら、ハードルを越えられず夢破れて将棋界を去った少年少女は数知れずいる。そのハードルを勝手に下げさせるわけにはいかないとの思いが将棋連盟側にはある。

渡部さんにも研修会に入会して修業を積み、その上でLPSA所属の女流棋士として活動してほしいというのが将棋連盟の主張。30日に記者会見した将棋連盟専務理事の田中寅彦九段は「誰に対しても研修会の門は開いている。女流棋士制度は長い歴史の上に築かれている。その形を続けていきたい」と語った。

また、LPSAが記者会見を開き「渡部さんの出場を認めてくれない」とスポンサーのマイナビまで批判したのは愚策だったと言わざるを得ない。渡部さんの出場の是非に関する判断を、スポンサーに「踏み絵」のように要求するのは酷というもの。記者会見を開いて広く伝えるべきなのは、他者を批判する言葉ではなく、将棋ファンにもあまり理解されていないプロ認定基準の正当性ではなかったか。

加えて、LPSAは07年の独立騒動のさなかから、昨年末に亡くなった米長邦雄・将棋連盟前会長の言動などに不信感をつのらせていた。長年の経緯を通じて積み重なったLPSA側の不満が、今回爆発したともいえる。

今求められるのは、将棋連盟とLPSAの一刻も早い和解である。将棋界は、スポンサーが出す棋戦の契約金が棋士に対局料や賞金として支払われることで成り立っている。企業は自社のイメージ向上などを目的にスポンサーを務める。「お金を出した上に面倒に巻き込まれてはたまらない」。スポンサーにこう思われたら将棋界はおしまいだ。将棋界内部で完結させるべき問題でスポンサーのマイナビにまで迷惑をかけた今回の騒動はあまりにもまずい。事実、マイナビ女子オープンの「契約継続に関しては白紙」(将棋連盟の田中寅彦専務理事)。棋戦の存続さえ危ぶまれる。

記者の私案をいえば、(1)将棋連盟が(特例として)渡部さんを「プロ」と認める。(2)LPSAがプロ認定基準をファンや将棋連盟にも認められるよう改善する、あるいは両者が共同の基準のもとに運用する。このあたりが落としどころではないか。現在の混乱はマイナスでしかない。勝敗を競う場面ではない。両者の冷静な対応を願う。

(文化部 柏崎海一郎)

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