大飯原発の再調査要請も 規制委、活断層か判断へ
原子力規制委員会は2日、関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)の敷地内の地層調査を終えた。島崎邦彦委員長代理は敷地内で新たな断層が見つかったことに触れ、「必要があれば関電に追加調査を求めるのも選択肢」と述べ、追加調査を示唆した。
島崎氏は記者団に対し「情報が十分かどうか議論する必要がある」と指摘。「活断層の定義も踏まえ、総合的に判断したい」と述べた。調査団のメンバーで、活断層の可能性を指摘してきた東洋大の渡辺満久教授は「(見つかった断層は)活断層かどうかは現時点では分からないが、今までより疑いのレベルは上がった」との見解を示した。他のメンバーは現時点で活断層と判断する明確な理由はないと指摘した。
調査団は現地調査を踏まえ4日に評価会合を開く。活断層の有無を協議し、関電に追加調査を求める見通し。そのうえで活断層かどうかの判断を近く示す。
調査団が2日に調べたのは2号機と3号機の間を走る「F-6断層」。細かく砕かれた岩石などでできた断層で、原発の冷却に用いる非常用取水路の真下を通っている。朝から夕方まで約8時間、関電が事前に掘り出した断層面の見える穴や岩盤などを視察。これまで見つからなかった新たな断層を海側で確認した。
焦点は見つかった断層の年代だ。古い断層と規制委が判定すれば問題はない。だが、新しい年代に生成した活断層と判定すれば、規制委は大飯原発に運転停止を求める。
関電は「活断層を示唆するものはない」とする中間報告を10月末に規制委に提出した。これは12万~13万年前以降に動いた地層を活断層とする現在の耐震指針に基づいた判断。規制委は活断層の定義を「40万年前以降」に拡大する方針で、新定義を適用すれば、対象外だった断層が新たに活断層と判定される可能性もある。地層の年代の推定は極めて難しく、専門家の間でも意見は割れる。
野田佳彦首相は2日、内閣記者会とのインタビューで「規制委員会の判断が出るなら、当然政府は尊重する」と述べた。
規制委は今後、東北電力東通原発(青森県)、北陸電力志賀原発(石川県)、日本原子力発電敦賀原発、関電美浜原発、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(いずれも福井県)の5原発でも断層調査を行う。