電力9社、原発停止による純損失1.7兆円 政府試算
政府は24日に開いた需給検証委員会で、原子力発電所の停止が続いた場合の電力会社の損失額の試算を公表した。原発から火力発電所の代替が進むことで、2012年度の純損失額は1兆7600億円になり、純資産は7600億円減る。関西電力や九州電力の損失額が大きく膨らんだが、12年度に債務超過に転落する電力会社はなかった。
試算対象は沖縄電力を除く電力会社9社。11年度の各社の決算から、燃料費の増加を単純に反映して今年度の財務状況を見積もった。
原発停止の影響で、電力9社が支払う燃料費は通常時に比べて年間3.2兆円増える。関西電力の大飯原子力発電所が再稼働したことでコスト減の効果が一部に出た一方、液化天然ガス(LNG)や石油の燃料価格の上昇がそれを打ち消した。
純損失額が最も大きいのは関西電力で、5820億円になる。九州電力が4485億円と続く。仮に関西電力で13年度も大規模な欠損金を出せば、資産から負債を差し引いた純資産額がマイナスとなり、債務超過に陥る可能性がある。
政府は同日の需給検証委で、13年夏の電力需給の見通しも公表した。今夏並みの節電が実現する場合、5.4%の予備率が確保できるため「来夏の需給逼迫は抑えられる可能性がある」と結論づけた。ただ、景気が急拡大したり企業・家計の節電意識が後退したりすれば、需給が厳しくなるおそれもある。