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大腸がん治療、安全・緻密に 手術支援ロボも存在感

日経実力病院調査2012

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 大腸がんは食生活の欧米化で患者数が増加傾向にあり、部位別では肺、胃に次いで年間死者数が多い。日本経済新聞社の実力病院調査で症例数の多い病院は病期に応じ、内視鏡治療や腹腔(ふくくう)鏡手術など体への負担が少ない方法で切除。緻密で安全性の高いロボット支援手術や機能温存を重視した術前化学放射線療法を実施する例もあり、治療の質を高めていた。

初期は内視鏡、進行時は腹腔鏡

大腸は盲腸からS状結腸までの「結腸」と、消化管の最終部となる「直腸」に大別される。がんは腸管の内側を覆う粘膜から発生して徐々に腸壁に進入。進行するとリンパ節や肝臓、肺などの臓器に転移する。

「日本の大腸がんの治療成績は内視鏡による診断・治療のレベルの高さときめ細かいリンパ節切除により、経済協力開発機構(OECD)加盟国中でトップ」。治療ガイドラインを作成する大腸癌研究会(約500病院加盟)の杉原健一会長(東京医科歯科大大学院教授)はこう説明する。

杉原会長によると、治療方針はがんの深達度や転移の状況で判定する病期によって決まる。粘膜や粘膜下層で止まっている早期がんは内視鏡で切除。腫瘍の下に生理食塩水を注入し、ワイヤをかけて高周波電流で焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、腫瘍の周囲と下部にナイフを入れて剥がし取る内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がある。

関西労災病院(兵庫県尼崎市)は昨年3月までの1年間で結腸がんの内視鏡治療を230例以上実施。消化器内科の中村剛之医師は「ESDは大きな腫瘍でも一括して切除できる。一方で、腸壁は胃壁に比べて薄く細菌も多いため、穴が開くと腹膜炎を起こして緊急手術が必要になることもあり、胃のESD以上に高い技術が必要だ」と語る。

2001年の開院時に外科、内科の垣根を越えた「消化器センター」を開設した昭和大横浜市北部病院(横浜市)は拡大内視鏡検査を駆使した正確な診断・治療が強みだ。工藤進英センター長は「ほかの病院で外科的な手術でしか治療できないとされた患者を内視鏡で治すこともある」と話す。技術を習得しようと、全国の大学から若手医師が集まるという。

がんが腸壁の粘膜下層を越えて浸潤したり、リンパ節に転移したりすると内視鏡治療では対応できなくなる。以前は腹部を切り開く方式が主流だったが、十数年前から結腸がんを中心に、腹部に開けた小さな穴からカメラや鉗子(かんし)を入れて実施する腹腔鏡手術が普及。大腸がん手術の約35%に達したとの報告もある。

一方、直腸がんは周囲に臓器や神経が密集し、医師が不慣れだと、腫瘍を取り残したり排尿や性機能などを損ねたりする恐れがある。このため治療ガイドラインは開腹手術を標準治療としている。

静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)は直腸がんでも、ほかの臓器に転移していなければ腹腔鏡手術で対応する。今回の調査で、直腸がんの「手術あり」は全国5位の250例。絹笠祐介・大腸外科部長は「直腸は腹部から離れているうえ、骨盤の中にあるため狭くて暗い。医師が習熟していればむしろ腹腔鏡手術の方が適している」と話す。同センターは進行がんでも、肛門の出口から約3センチ以上離れていれば、基本的に肛門を残している。

11年12月には手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入した。医師がハイビジョンの立体画面を見ながらロボットの"手"を動かすため、手振れがなく、精密な手術ができるという。同センターはこれまでに大腸がん手術で全国最多の50例以上を実施(DPCデータには含まれない)。自費診療だが、直腸がんの患者には基本的にダヴィンチ手術を勧めている。

絹笠部長によると、直腸がんの腹腔鏡手術では腸の縫合不全が一般的に10~13%発生する。静岡がんセンターは約2%で、ダヴィンチ手術では0件。「安全性についても結果は良好だ」と同部長は話している。

◇            ◇

術前補助療法広がる 肛門の温存率アップ

大腸がん患者に対する化学療法(抗がん剤治療)は手術後の再発防止のほか、進行・再発がん患者の生存期間を延ばしたりQOL(生活の質)を改善したりする目的で実施するのが一般的。「2000年代に入り、進行・再発がん向けの薬剤が次々に登場し、治療成績の向上に寄与している」(大腸癌研究会の杉原会長)という。

近年は補助療法として、直腸がんを中心に、手術前の患者に抗がん剤を投与する「術前化学放射線療法」が広がり始めた。欧米では広く行われている手法で、あらかじめ腫瘍を小さくすることで腫瘍の切除を容易にし、人工肛門をつくる割合を30%減らせるという。

今回の調査で「手術なし」の症例数が上位だった独協医科大病院(栃木県壬生町)は2010年、直腸がんで同療法を始めた。化学療法認定専門看護師を外来に2人、病棟に1人配置し、チーム医療で取り組んでいる。同大学によると、テガフール・ウラシル配合剤とホリナートカルシウム剤の投与を放射線治療と併用して実施。手術が必要な患者のほぼ半数が同療法を選択している。

加藤広行・第1外科学主任教授は「局所再発率が約30%減り、肛門の温存率は30~40%高められる」と話している。

<調査概要>
 調査は(1)治療患者数(診療実績)(2)医療の質や患者サービス(運営体制)(3)医療従事者の配置や医療機器などの設備(施設体制)――の3つの視点で、病院選びの際に参考となる情報をインターネット上の公開データから抽出して実施した。
 ▼診療実績 厚生労働省が2012年8月に公開した11年4月~12年3月の症例数(退院患者数)とした。病名や手術方式で医療費を定額とするDPC制度を導入・準備中の全国1634病院が対象。病名と手術の有無で症例数を比べた。国立がん研究センターが12年3月に公開した院内がん登録全国集計(09年分)も参考にした。
 ▼運営体制 財団法人「日本医療機能評価機構」(東京)が病院の依頼を受け、医療の質や安全管理、患者サービスなどを審査した結果を100点満点に換算した。審査結果を公開している認定病院は1702病院(12年10月10日時点)。平均は70.7点。
 ▼施設体制 医療従事者の配置、医療機器や専用治療室など、厚労省が定めた「診療報酬施設基準」を満たしたとして各病院が届け出た項目を比べた。

[日本経済新聞夕刊2013年1月24日付]

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