福島で肥満の子増える 屋外活動制限の影響
学校保健調査
福島第1原子力発電所事故の影響が続く福島県で、肥満の子どもの割合が増えていることが25日、文部科学省の2012年度の学校保健統計調査速報で分かった。放射線への不安から屋外活動を制限する学校や家庭が多く、生活習慣が乱れたことが原因と同省はみている。福島県教育委員会は子どもの健康確保のため、屋内での運動を促そうと工夫を凝らしている。
調査は今年4~6月、全国の幼稚園児から高校3年生を対象に実施。発育状態は全体の4.9%、健康状態は23.4%を抽出して調べた。11年度は東日本大震災の被害が大きかった福島、岩手、宮城の3県を集計対象から外したが、12年度から再開した。
標準体重などから算出した肥満度が一定の水準を超えた「肥満傾向児」の割合は、福島県が5~17歳の全年齢層のうち、7つの年齢層で全国最多となった。特に小学生は全年齢で10年度を上回り、6歳は9.7%で4.7ポイント増、8歳は13.5%で5.1ポイント増えた。
県教委によると、今年9月時点で全公立小の11%にあたる55校が校庭の使用時間を制限している。文科省が示した校庭使用の放射線量の目安は下回っているが、不安を訴える保護者に配慮する学校が多いためだ。対策として県教委は屋内での運動プログラムを作成し、各学校に紹介するなどしている。
岩手、宮城両県も肥満の子の割合の多さは全国で上位に入った。ただ、冬場の外出が減る東北地方はもともと肥満の子が多く「震災の影響は少ない」(文科省)という。
全国の子どもの平均身長は、小6が男子145センチ、女子146.7センチ。中3が男子165.1センチ、女子156.5センチ、高3が男子170.7センチ、女子158センチ。いずれも11年度比で横ばいか微減だった。同省は子どもの身長の伸びは01年ごろがピークで、既に限界を迎えたとみている。
平均体重は男子が高校生で11年度に比べて微減だったが、小学生でわずかに増えた。女子は8歳だけ減ったが、ほかの年齢層は増加か横ばいだった。平均体重は03年度ごろがピークで、その後は減少傾向となっている。