民主主義に未来はあるのか 創論・時論アンケート
日本経済新聞は毎週日曜日、国内外の重要なテーマについて各界の論客の意見を紹介する「創論・時論」を掲載しています。これにあわせ、電子版では読者アンケートを実施しています。今回の質問は(1)日米欧など先進国の民主主義政治は行き詰まっていると思うか(2)先進国の「決められない政治」を解消するために最も必要なことは何か――です。皆さんのご意見をお聞かせください。選択肢にない回答などもコメント欄で受け付けます。
米国、欧州、そして日本など民主主義の先進各国の政治が閉塞感を強めています。英国の宰相、ウィンストン・チャーチルはかつて、「民主主義は最悪の政治形態であると言える。ただし、これまで試されてきたいかなる政治制度を除けば」と述べ、民主主義の素晴らしさを説いたことがあります。いかにも皮肉屋の英国人らしい、その物言いに潜む真意は、「独裁主義や全体主義、共産主義、社会主義よりも民主主義ははるかに優れている」という点にあります。
21世紀の今日、そのチャーチルの名言が揺らいでいるようにも見えます。自らを「民主主義のお手本」と胸を張る米国ですが、2012年の大統領選では民主党現職のオバマ大統領と野党・共和党のロムニー候補がかつての日本顔負けの「金権選挙」を展開し、双方を中傷する泥仕合も演じました。与野党の対立で、ついには「財政の崖」と呼ばれる、国家的な財政危機にまで直面しています。
選挙の投票率も1970年代になってから常に50%台に低迷。有効投票のうちわずかに5割を超える支持を獲得した人が大統領となっています。単純に計算すると、近年の歴代米大統領は実質的には4分の1の国民からしか信託を得ていないことになります。
日本でも先の総選挙で野党・自民党が大勝し、与党・民主党は壊滅的な敗北を喫しました。しかし、多くの新党が乱立。投票率は59%台と戦後最低レベルとなり、有権者の「政治不信」を印象づけました。公明党と合わせれば実に320もの議席を獲得した自民党ですが、安倍晋三総裁自身が指摘した通り、有権者の投票行動の裏には「自民党への支持」というよりも与党・民主党への懲罰的な意味合いが込められていた面は否めません。
欧州に目をやれば、イタリアでは「非政治家」を集めた政権が発足し、民主化が進んでいるはずのロシアではプーチン首相が大統領に返り咲き、独裁色を強めています。財政難が続くギリシャやスペインでも政治情勢が不安定さを増しています。世界市場では、リーダーの権力が強く、機動的に意思決定ができる中国など国家資本主義の台頭がむしろ目立ちます。
多数決の原理に基づく民主主義に果たして未来はあるのでしょうか。人間社会を運営する上で最も有効、かつ公正・最善のシステムとして、民主主義はこの先も生き残っていくでしょうか。
▼読者の考えは
「民主主義政治は行き詰まっている」57%
先進国の民主主義政治についての読者のご意見
「決められない政治」解消のカギについての読者のご意見
▼サンデル米ハーバード大教授に聞く
震災で見せた自己犠牲、政治に生かせ