米、リビア空爆を批判 UAE・エジプト強硬姿勢
【ドバイ=久門武史】米政府は26日、アラブ首長国連邦(UAE)とエジプトがリビアのイスラム系民兵に空爆を加えたことを明かし、「外部の干渉」と批判した。事実上の内戦に陥ったリビアへの関与に米欧が消極姿勢をとるなかで、アラブ諸国が独自の動きを強めている。
米国務省のサキ報道官は26日の記者会見で、米政府として初めてUAEとエジプトによる空爆の事実を確認した。そのうえで「外部の干渉は(リビアの)分裂を一層深刻にし、民主化への移行を損なう」と懸念を表明した。AP通信によると、米政府は空爆の計画を把握し、反対を伝えていたが、両国から空爆の事前通告はなかった。
エジプトは空爆を否定し、UAEはコメントしていない。UAEはサウジアラビアとともに、エジプトのシシ政権と緊密な関係にあり、3カ国ともイスラム過激派の台頭を警戒している。
米国と欧州主要国は混迷するリビアへの直接介入に慎重で、事態打開の見通しは立っていない。エジプトなどは情勢悪化にいら立ちを強め、米欧が動かなければ自ら軍事介入するという姿勢を空爆で示す意図があったもようだ。UAEとエジプトは伝統的に米国と良好な関係にあり、空軍はF16戦闘機など米国製の装備を持つ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、UAEの戦闘機がエジプトの基地を使ってリビアの首都トリポリ付近のイスラム系民兵を18日と23日の2回にわたり空爆した。トリポリの国際空港の掌握を阻止する目的だったとの見方がある。ただ西部ミスラタの民兵を含むイスラム系民兵組織は23日、空港を制圧したと表明した。
UAEなどの空爆には、リビアで武装組織を支援するカタールをけん制する狙いがあるとの観測も浮上している。