「原子力庁」創設も選択肢 原子力委見直しで浮上
政府の原子力委員会の見直しを検討している有識者会合(座長・大西隆東大教授)は22日に会合を開き、複数の出席者が独立性の高い原子力委を廃止し、関連省庁の原発政策機能を統合して政府内に「原子力庁」を創設する案を提言した。原子力委の見直しは法改正が伴うため、実際の改編は衆院選後の政権の判断に委ねられる見通しだ。
有識者会合は年内に新しい体制案をまとめる方針だ。城山英明東大教授は「各省と原子力委の分担体制が十分機能してこなかった側面がある」と述べ、原子力委を廃止した場合、安全規制以外の原発政策を担う原子力庁の設置を提案した。
中西寛京大教授も一つの選択肢として内閣府の外局に原子力庁を設置し、同庁長官に勧告権を持つ専門家の委員会をつくる再編案を示した。
原子力委は原子力政策の司令塔として十分に機能せず、福島第1原子力発電所の事故後、組織を見直す機運が高まっている。22日の有識者会合では原子力委と民間の電気事業者の間で責任があいまいだった核サイクル政策を国が担う体制に改める方針で一致した。
会合に出席した前原誠司国家戦略相は「衆院選後にどのような政権の枠組みになるかは分からない」と語った上で「原発依存度を下げる、再生可能エネルギーを進めることに(次期政権も)大きな違いはない」として議論の継続を求めた。