天皇陛下、新年迎え所感 「被災者に心寄せ困難克服」
天皇ご一家は1日、新年を迎えられた。天皇陛下は新年にあたっての所感を宮内庁を通じて公表。内容の大半を東日本大震災に割き「皆が被災者に心を寄せつつ、支え合って困難を克服していくよう期待しています」とつづられた。
陛下は「放射能汚染により戻れない人々や、仮設住宅で厳しい冬を過ごさざるを得ない人々など、被災者のことが改めて深く案じられます」と、震災から2度目の冬を迎えた被災地を気遣われた。その上で、震災の経験を生かした防災教育や町づくりを願われた。
陛下は昨年2月、心臓の冠動脈バイパス手術を受けられた。3月には胸に水がたまった状態のまま震災1周年追悼式に出席。その後もエリザベス女王の即位60周年式典で訪英したほか、被災地をはじめ国内各地を訪れるなど、精力的に日程をこなされた。
今年80歳の傘寿を迎える陛下は、当面は公務を削減しない意向。宮内庁はスケジュールを従来より緩やかにしたり、侍医を同行させたりして健康管理を図るとしている。
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宮内庁は新年にあたり、天皇陛下が昨年詠まれた歌5首と皇后さまの歌3首を発表した。
【天皇陛下】
〈心臓手術のため入院〉
手術せし我が身を案じ記帳せるあまたの人の心うれしき
〈仙台市仮設住宅を見舞ふ〉
禍(まが)受けて仮設住居に住む人の冬の厳しさいかにとぞ思ふ
〈即位六十年に当たり英国の君に招かれて〉
若き日に外国(とつくに)の人らと交はりし戴冠式をなつかしみ思ふ
〈沖縄県訪問〉
弾を避けあだんの陰にかくれしとふ戦(いくさ)の日々思ひ島の道行く
〈明治天皇崩御百年に当たり〉
様々の新しきこと始まりし明治の世しのび陵(みささぎ)に詣づ
【皇后さま】
〈復興〉
今ひとたび立ちあがりゆく村むらよ失(う)せたるものの面影の上(へ)に
〈着袴の儀〉
幼な児は何おもふらむ目見(まみ)澄みて盤上(ばんじやう)に立ち姿を正す
〈旅先にて〉
工場の門(かど)の柱も対(つい)をなすシーサーを置きてここは沖縄(ウチナー)