笹子トンネル下り、不具合670カ所 ボルト緩みなど
14トンネルでも42~1カ所
山梨県の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故で、国土交通省は13日、事故が起きていない下りのトンネル(全長約4.7キロ)を緊急点検した結果、天井板のつり金具を固定するボルトの緩みや欠落などの不具合が670カ所で見つかったと発表した。同じ構造のトンネル14本でも不具合が見つかったが、最大でも42カ所で、笹子の下りが突出していた。
笹子の下りは上りの事故後、通行止めとなっており、年内の仮復旧を目指して、天井板の撤去工事が進んでいる。国交省は「ただちに崩落するとは思わないが、事故原因が解明されておらず、安全な状態とは言い切れない」と指摘。不具合の数が突出した理由は「天井が他のトンネルに比べて高く、目視点検が行き届かなかった可能性がある」としている。
緊急点検は国交省の指示を受け、高速道路会社や地方整備局などが笹子と同じ構造のトンネル60本で実施。点検が完了した58本のうち、笹子の下りを含め計15本で不具合が見つかった。
国交省によると、笹子の下りには、つり金具をトンネル最上部に固定するアンカーボルトが約1万2千カ所ある。不具合が見つかったのは、このうちの632カ所で、内訳は脱落2カ所、緩み608カ所、腐食による欠損22カ所。
鋼板とつり金具をつなぐボルトなどでも破損や緩みが19カ所あったほか、天井の固定部分付近でコンクリートのひび割れが19カ所見つかった。
中日本高速道路会社が9月に実施した点検では、上下線とも「異常がなかった」とされていた。同社の吉川良一・非常対策本部副本部長は同日、名古屋市内で開いた記者会見で、下りの不具合に関し「現在捜査を受けており、コメントは差し控えたい。事故原因究明に向け、国交省の調査委員会に全面的に協力したい」と述べた。
笹子の下りのほかに不具合があったのは、大豊トンネル(高知県)や夜昼トンネル(愛媛県)など14本。42~1カ所でボルトが欠落するなどしていた。国交省はいずれも安全上大きな問題はないとしているが、補修など必要な措置を実施するよう管理者に要請した。