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CD買わない若者、なぜフェスにいくのか

クリエイター 小橋賢児(4)

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「CDが売れなくなった」とよく言われています。一方で、フジロックフェスティバルなどに代表される「フェス」の観客動員数や、ライブの収入は年々上昇傾向にあります。僕たちはなぜ、フェスに向かっていったのでしょうか。今回は、僕がディレクターを務めているULTRA JAPAN(米国マイアミのウルトラミュージックフェスティバルの日本版)の経験を紹介しながら、自分なりに感じていることを伝えたいと思います。

語学学校の春休み、マイアミで出合う

ウルトラミュージックフェスティバル(以降、ウルトラ)と僕の出合いは、アメリカ留学中にさかのぼります。語学学校の春休みに米国を横断しました。3月中旬から下旬にかけ、ゴールだったマイアミで、ちょうど音楽の祭典である「ウィンターミュージックカンファレンス」が行われていました。なかでもウルトラはEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージックの略。シンセサイザーの音を強調した電子音楽)を中心としたライブイベントです。町中が音楽を楽しむ躍動感に僕はすっかり魅了されてしまいました。その後、ファッションや音楽イベントなどの演出をしたり、イビザなどで行われる世界のフェスに出かけたりしてイベントの面白さを学びました。

3年前、ウルトラが韓国に上陸する際、日本を含めたアジアのアーティストを呼ぶことになりました。すでに企業のプロモーションイベントもいくつか手掛けていた僕を日本側のディレクターとして知人が推薦してくれたのです。突然、アジアの責任者から届いた英語のメールを受け取るとともにスカイプを使った会議が始まり、日本の市場について検討を始める慌ただしさでした。

リアルな体験を共有する

ウルトラは1998年、マイアミで始まりました。2013年は6日間で約30万人を動員、パリス・ヒルトン、レディー・ガガなども観客として訪れる音楽イベントです。現在では、世界の9つの地域で実施されています。隣の国韓国では2年前から実施され、約8万人を動員しました。

ウルトラの一番の特徴は、「観客も主役である」ことを強調していることにあります。通常、米国では勝手に個人の写真をメディアで公開することは難しい。ウルトラでは、チケットにあらかじめ「あなたたちも主催者の一人。このイベントを一緒に作りましょう」と記載しています。イベントの様子は「UMFTV」というライブストリーミングを通して世界中に発信されます。DJも観客も「主役」であり「主催者」なのだから、肖像権の許可は必要ない。訪れる観客は映像に映ることを意識して、思い思いのおしゃれをします。舞台に立つアーティストが観客を撮ることもあるし、観客もアーティストの写真をこぞって映します。コンサート会場などでアイドルの写真撮影が厳しく制限される日本の様子とはかなり異なっています。

さらに会場にいる人たちは「自分はこんな楽しい場所にいる」ことを「シェア」したいから、映像に自分から積極的に映ろうとする。そしてフェイスブックやツイッターで共有する。見ている人たちは自分たちも行きたいと願う。コンサート終了後も映像はアフタームービーとして動画サイトに共有され、さらにその映像が共有される。この流れがあるからこそ、ウルトラは、インターネットとリアルをつなぐ現在の音楽シーンを体現しているイベントだと思います。

ウルトラのリピーターでもある歌手マドンナは、いち早くユーチューブなど無料動画サイトに自分のプロモーションビデオを配信しました。インターネットの普及で生の体験を求めるはずだと考え、映像を見せることで観客をライブに誘導しようとしたのです。

CDは売れない、ライブの時代

今、CDは昔ほど売れなくなりました。そもそも、音楽を聴くツールはCDだけではなくなりました。代わりに伸びているのが「ライブ」です。03年に約942億円だった国内市場は、13年に約2318億円に増えました。10年間で2倍以上の成長です(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会調べ※)。なかでも、日本国内で目立つのは「夏フェス」。老舗の「フジロックフェスティバル」はこの3年間、毎年10万人を超える動員数です。ウルトラもそうですが、チケットは数万単位。決して安くないんです。

※一般社団法人コンサートプロモーターズ協会「年別基礎調査報告書」より(全国各地の正会員社を対象の調査。2013年の正会員は59社)

なぜ、人々がフェスに向かうのか。僕はインターネットの普及と無関係ではないと思っています。動画を見たことで、よりリアルな体験をユーザーは求めるようになりました。さらに、ユーチューブなどで見た音楽や、ライブ会場のすばらしい演奏をユーザーは感動したら、SNSなどを通じて共有します。いいものを伝えたい、という純粋な気持ちと、ここにいるよという自己顕示欲。この「欲」がコンテンツのPR活動をしてくれる、という見方もできます。

単なる協賛モデルはやめよう

ウルトラはお台場の特設会場で実施されます。広い会場が必要でした。また、僕らのコンセプトとして都市でおしゃれをして楽しむイベントにしたかった。そこで江東区のお台場で開くことになりました。

当然、東京都をはじめとする行政とのやりとりが発生します。特に日本では現在、客にダンスを踊らせる「ダンス営業」は風俗営業法の対象になります。原則午前0時までの営業のみ、住宅地のそばでは営業してはいけない、といった規制があるのです。実は、公民館やカルチャースクールなどで踊ることも、厳密にいえばこの法律に当てはまってしまうケースがあります。現在、音楽やダンスを楽しむクラブも、文化の発信につながるという声があがり、国会でもこの法律の見直しが始まっています。

ウルトラも実施にあたり、東京都をはじめとする行政の方々と何度もやりとりを重ねました。本場米国では、ウルトラは0時まで行われていますが、日本はもう少し早く音を出すことを終える運営にはなると思います。初めての実施で課題はつきませんが、それでも大きな第一歩だと感じています。

プロセスこそが力になる

先日ウルトラの体験を伝えるため、実行委員会のメンバーとマイアミに向かいました。口での説明ではなく、熱気を体験してもらうことが一番大切だと思ったからです。日本特有の課題をどうするかについても、同じ視点で一緒に考えてもらうことができます。実際、マイアミに訪問したあとにメンバーの仕事への姿勢は大きく変化しました。

法律や数字目標、いろいろなハードルはあります。確かに、いきなり全部を変えることはできません。だからといってドライになり、「投げ」てしまったらいけないと自分で決めています。遠回りに見えても、一緒に考えていったプロセスこそ、すぐは力にならなくても大きな結果に結びついていくと思います。

行政という立場で関わっている人、協賛という形で関わっている人とも、単に「ウェブサイトのロゴを載せる」ではなく、ぶつかることで「一緒に面白い体験を作っている仲間」になりましょう、僕らはそう伝えてきました。ウルトラは、観客も、準備をしている僕らも「リアルな体験をしている」主役で、仲間になれるイベントにしたいと思っています。

東京ディズニーランドがきたときのように

約30年前初めて東京ディズニーランドが開業したとき、普段遊園地に行かない人も世界から何やら面白いものがやってくる、と多くの人たちが訪れました。今では毎年多くの日本人が本場米国のディズニーランドに出かけています。僕はウルトラもそうなると信じています。電子音楽は技術の進歩で生まれた比較的新しい音楽ですが、まだまだ体験したことのない人もたくさんいます。言語にとらわれないので、海外の人とも感動を共有することができます。

東京で体験した人たちや、映像を見た人たちがウルトラを楽しみ、本場マイアミや韓国のイベントも体験したい。そう思って海外に訪れ、新しい発見や経験を培ってほしいと願っています。そして何年もたったあとに「このイベントに参加したことが、一つの点になり、この今いる未来につながった」と一人でも多くの人のきっかけになるイベントになれば本望かもしれません。

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