ウナギ稚魚のエサはプランクトン死骸 東大など完全養殖へ一歩
東京大学の塚本勝巳教授と海洋研究開発機構の大河内直彦プログラムディレクターらは、ふ化したばかりの天然ウナギの稚魚がプランクトンの死骸をエサに育つことをつきとめた。プランクトンの死骸に似た成分のエサを稚魚に与えれば、成長が早まるという。卵を人工ふ化させて育てる完全養殖の実現につながる成果だ。
7日付の英専門誌に発表した。ふ化して間もない稚魚の体長は1センチほどで、姿も木の葉に似ており、親ウナギのように細長くない。これまで何を食べて育っているのか謎だった。
研究グループは、フィリピンや台湾の沖合で9匹の幼生を捕まえ、体をつくっているアミノ酸に含まれる2種類の窒素を分析した。この比率によって、何を主食にしているのかが推定でき、マリンスノーと呼ばれる動物プランクトンや植物プランクトンの死骸を食べていることがわかった。
ウナギの養殖はシラスと呼ぶある程度育った稚魚を捕まえ、親ウナギに成長させている。最近はシラスの不漁で、高値が続いている。
人為的に産卵・ふ化させる研究も進んでおり、サメの卵やオキアミなどを加工したエサを与えているが、成長が遅くひ弱で商業ベースの完全養殖は難しいとされる。自然環境に近いエサを食べさせれば、養殖の効率向上が期待できるという。