2ちゃんねる、警察が削除要請の違法情報97%放置
薬物広告などの書き込み5000件
インターネット総合掲示板「2ちゃんねる」が、薬物広告や口座売買などの違法情報の書き込みについて、警察側から昨年1年間に5223件の削除要請を受けたにもかかわらず、97%(5068件)を削除せずに放置していたことが10日、警察庁のまとめで分かった。未削除でネット上に残る違法情報全体の9割強を占めている。同庁は「犯罪の温床になる」と警戒を強めている。
ネットの違法情報や、殺人請負や集団自殺呼び掛けなど「有害情報」は、警察庁の委託を受けて民間団体「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」が監視。削除を要請したり、警察に通報したりしている。
警察庁によると、2ちゃんねるに掲載され、削除されなかった違法情報の約9割は覚醒剤など薬物関連。「アイス」「チャーリー」など薬物を示す隠語を用いて取引を持ち掛けるものもあった。
ネット全体での昨年の違法情報の削除要請は1万4924件で、うち63%の9543件は削除された。未削除情報5381件のうち、94%を2ちゃんねるが占めた。
2ちゃんねるへの削除要請は2009年は1266件、10年は1910件だったが、これらの大半も削除されなかった。
警視庁は昨年11月以降、薬物に関する書き込みを放置したとして、麻薬特例法違反(あおり・唆し)ほう助容疑で、2ちゃんねるの元管理人宅など関係先を家宅捜索するなどして、運営実態の解明を進めている。
11年にIHCが警察に通報した違法情報は2万3846件、通報に基づく摘発は1599件。いずれも過去最多だが、摘発の大半はわいせつ物関連だった。ネット利用の薬物密売事件の摘発は、前年から12件増えたが11年は31件で、警察庁幹部は「ネットで違法薬物の入手が容易になっている」と警戒。警察庁の片桐裕長官は10日の定例記者会見で「犯罪をほう助しているとみられる悪質なサイトには、刑事責任の追及も含めて必要な措置を講じる」と述べた。