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ひつぎの中は意外に落ち着く

定年男子の終活見聞録

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ここ2、3カ月の間、各地の葬儀社や霊園、司法書士、介護・医療施設などを訪ね歩いた。終活と一口に言っても、関連する分野は多岐にわたる。時間はたっぷりあるが、体力の衰えが目立つ高齢者には、かなり大変なことだった。しかも訪問先は、どちらかといえば暗いイメージが付きまとい、気軽に立ち寄りにくい所が多い。なかなか足が進まない。

遺影撮影会、カメラの前に順番待ちの行列

「あらゆる終活相談が1カ所でできればいいのだが」と考えていたところ、最近になって、関連業者や専門家が集まり合同説明、相談会を催す例が一部で見られるようになった。

9月末、川崎市で開かれた「終活フェア」もその一つだ。市内の葬儀会社が発案し、霊園、石材業者、介護・医療施設、法律専門家など14の会社、団体が参加した。これまでも、数業者が手を組んで小規模の相談会を開く例はあったが、フェアと銘打った大規模な催しは、「おそらく初めてだろう」と主催者は話す。各種のブースが並ぶ会場は、さながら終活の見本市のようでもあった。

本物のひつぎで入棺を体験

特設会場では、健康ヨガの実演や、臨終から葬儀、相続手続きまでを描いた素人劇も披露された。プロカメラマンによる遺影の撮影会もあり、カメラの前には順番待ちの行列ができるほど。撮影を終えた高齢者の多くが、「懸案が一つ解決した」「親が亡くなったときは、ろくな写真がなくて大騒ぎだった」と喜んでいた。私もそうだったから、その気持ちはよく分かる。

一角には、本物のひつぎを用意した入棺体験コーナーまであった。ひつぎの中からVサインを送る人もいる。入ってみると、意外に落ち着くものだ。会場は終日、お祭り騒ぎのにぎわいに包まれた。

主催者の1人である葬儀会社、神奈川こすもすの清水宏明社長は、「どうせなら、楽しい終活を」と呼びかける。「我々の業界は、とかく閉鎖的で暗いイメージがあり、気軽に相談に行きづらい所と見られがちだった。これを機に、正確な情報提供と消費者との接点を大切にする開かれた業界にしたい」と、親しみやすい終活の環境づくりを強調する。

横須賀市でも9月、同様の催しがあった。こちらは「明るさを前面に」と、「ハッピーエンドフェスタ」と銘打った。

大震災、「死」身近に考える契機に

葬式、墓、相続の相談や遺影撮影コーナーなどのほか、クルーズ旅行を勧める旅行会社、遊休不動産の活用術を教える不動産会社、高齢者の体操教室などが加わった。シルバー世代向けの結婚相談コーナーも用意された。

「老後の不安への備えをして、これからの人生を明るく積極的に楽しむのが終活」と、フェスタを呼びかけた横須賀市内の石材業、大橋理宏さんは話す。参加したのは15業者。地元の中小業者がほとんどで、「楽しい終活」を合言葉に初めて横のつながりができた。地元密着のネットワークを生かし、高齢者のあらゆるニーズ、相談に応じられる「終活の地域コンビニ」を目指すのだという。

競争が激化する葬送関連業界の、新しい生き残り策でもあるのだろう。それにしても、両会場とも、初めての試みにもかかわらず、予想を超える入場者でにぎわった。

いまなぜ、終活がもてはやされるのだろう。会場で出会った高齢者からは「大震災でいきなり多くの人が亡くなる現実を目にして、死を身近な問題として考えるようになった」という声をよく聞いた。「親せきや地域の縁が薄くなり、自分の最期は自分で心づもりしておこうと思うようになった」「葬送に関する選択の幅が広がり、昔の常識が通用しなくなった。元気なうちに勉強しておきたい」と話す人もいた。

懸案は残っているが、楽しく終活したい

人生の終盤を考えるきっかけにしたいと、軽い気持ちで始めた終活だったが、いろいろなことを考えさせられた。世の中の変化が、終活の必要性を生んだのかもしれない。まだまだ懸案解消というわけにはいかないが、どうせするなら、楽しく終活したいものだ。

(森 均)

 森均(もり・ひとし) 1947年京都府生まれ。日本経済新聞の社会部記者、編集委員を長く務める。家庭を顧みない「仕事人間」だったが、定年退職以降は「家庭人」を目指して奮闘中。2012年4~5月には日本経済新聞電子版に「定年男子の料理教室」を連載した。

※「定年世代 奮闘記」では日本経済新聞土曜夕刊の連載「ようこそ定年」(社会面)と連動し、筆者の感想や意見を盛り込んで定年世代の奮闘ぶりを紹介します。

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 「定年男子の終活見聞録」は今回で終わり、次回から「団塊オヤジのナメクジ探索」が始まります。

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