衆院選へ第三極乱立 石原新党、維新と連携模索
石原慎太郎東京都知事が新党結成に動き出し、民主、自民など既成政党と距離をおく「第三極」結集の動きは複雑さを増した。石原氏は自らの国政復帰を含め、新党から数十人規模の候補者擁立を目指す。橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会との連携も探り、次期衆院選をにらんだ与野党の戦略に大きな影響を与える。
「石原新党」の母体は平沼赳夫氏が代表を務めるたちあがれ日本だ。同党は2010年4月に「政界再編の起爆剤になる」と訴えて結党し、石原氏は「応援団長」の立場で支援。今年に入り平沼氏や国民新党を離党した亀井静香氏らと新党への調整を進めた。
■有権者の支持広がり未知数
石原氏は25日夕に早速、たちあがれ日本の所属議員5人と対応を協議。同党をいったん解党し、11月上旬の新党発足を目指す方向で一致した。その後、都内で亀井氏とも会談。30日に開く拡大支部長会議で今後の方針を正式に決める。
石原新党はこれまで何度も浮かんでは消えてきた。実際にどこまで有権者に支持を広げられるかは未知数の要素が多い。候補者選びはこれからで、小選挙区、比例代表とも擁立は関東地方が中心になる見通しだ。03年の都知事選で308万票、昨年も261万票を獲得した石原氏が比例代表の看板候補となり、集票力の底上げを狙う。
29日の臨時国会召集を前に新党結成を表明したのは、年内の衆院解散があり得ると意識しているからだ。与野党には「民主党から議員を引き抜き、同党が過半数割れするメドがついたのでは」との臆測も流れている。
石原新党の連携先はまだ不透明だ。25日の記者会見では、国民の生活が第一の小沢一郎代表に関して「組むことはないだろう」と突き放した。自民党との協力も「考えていない。(衆院選で)過半数は取れっこない。今の自民党もそんなに評価できない」と言及した。
現状では橋下大阪市長が率いる日本維新の会との連携に意欲的で、平沼氏は13日に橋下氏と会談した際「西は橋下、東は石原という形でやったらいい」と提案した。
■「政策見て判断」橋下氏が強調
橋下氏は25日、大阪市内で記者団に「石原氏のパワーがないと今の日本の統治機構を変えるのは難しい」と評価。ただ選挙協力に関しては「まずは政策の一致。政策がずれたままでは既存政党と変わらず、有権者にそっぽを向かれてしまう」と慎重に言葉を選んだ。
維新はみんなの党との選挙協力に動いている。石原新党と両にらみで連携を探るが、両者はいずれも関東を地盤とする。維新幹部は同日、「石原新党は維新の選挙区調整や擁立規模にも影響する。頭が痛い」と語った。
政策では保守色をどの程度強めるかが焦点だ。石原氏は記者会見で、尖閣諸島の実効支配の強化について「私が国会議員になって監督していきたい」と強調した。たちあがれ日本には、核武装論など「右寄り」に傾きすぎると、幅広い支持を失うとの声もある。