景気好転で1月に異例の総括判断 財務局長会議
財務省は30日の全国財務局長会議で、2012年10~12月期の経済情勢報告をまとめた。景気の総括判断は「昨年10~12月期においては弱含んでいたが、足元では一部に下げ止まりの兆しもみられる」とした。総括判断は通常、四半期ごとに示しているが、円安進行を背景に各地の財務局から1月に入り景況感が好転しているとの報告を受け異例の措置として1月も加えた。
輸出環境の改善で、特に波及効果の大きい自動車産業の生産が回復している現状を踏まえ、財務省は各財務局管内で12年10~12月の景気判断を覆すほどの変化が起きていると認め、最新の景況感を反映させる目的で1月の動きも加えることにした。12年7~9月期の総括判断は「緩やかに持ち直してきたものの、当期において足踏みがみられる」だった。
東海は足元を「自動車関連で生産が上向いている」と指摘し、東北、近畿、中国、四国などは輸出関連企業の景況感に明るい声が出始めていることに言及した。北海道は「国際線の新規就航効果等により外国人観光客が増加してきている」と指摘。さっぽろ雪まつりの期間中が中国の旧正月に相当するため、予約で満室になっているリゾートホテルがあるという。格安航空会社(LCC)の就航効果でも個人客が増えている。沖縄も同様に国内や台湾、韓国といった海外から観光客を集めている。
1月の動きと同時に、全国11財務局は12年10~12月期の景気総括判断も示した。12年7~9月期から判断を後退させたのは関東、北陸、東海、近畿など8地域で、前回の情勢報告と同じ多さだった。特に関東は「当期において弱含んでいる」と下方修正し、特に製造業の生産や企業の景況感、雇用情勢について判断を後退させた。
生産の厳しさは北海道と東海が「減少している」との認識を示し、東北や関東、近畿、中国でも弱い動きになっていると指摘した。近畿では国内大手電機メーカーのテレビ事業縮小の影響で薄型テレビ向け電子部品の低調を訴える声があったほか、福岡では中国から東南アジアに鋼材が多く流入し供給過多が起きている、といった見方があった。
上方修正したのは観光客の人気が高い沖縄。7~9月の景気判断だった「緩やかに持ち直している」との表現を今回は「緩やかに回復しつつある」と一歩前進させた。先行きは海外景気の下振れリスクを引き続き警戒する見方が大勢を占めたが、政府の緊急経済対策や円高是正に伴う輸出環境の改善の効果に対する期待も相次いだ。〔日経QUICKニュース(NQN)〕