被災地「復興が後手に回っては困る」 衆院解散宣言受け
東日本大震災の被災地からは"新しい政治"に期待する声はなかった。あるのは、復興が進まない中で日々募る政治へのいら立ちや不信感。政治家は被災者の声を新しい政治に反映できるか。
「どの政党が勝っても何も変わらない気がして選挙への期待はない」と切り捨てるのは宮城県南三陸町で昨年11月からホタテ養殖を再開した高橋栄樹さん(31)。「政権を取った人は復興予算の使い道をしっかりとしてほしい」と注文した。
岩手県大船渡市の仮設住宅で暮らす自営業、和田世津子さん(62)は「消費税は上げないと言っていたのに裏切られた。何を信じてよいのか分からない」と憤る。
津波で自宅が流失した会社員、村上孝雄さん(37)=同市=は「新しい政党がたくさんできて分かりづらい」と第三極の乱立を危ぶむ。「選挙の争点がぼやけて震災復興が後手に回っては困る」とくぎを刺した。
東京電力福島第1原発事故からの復興への取り組みが続く福島県。旧緊急時避難準備区域の広野町で、昨年6月に飲食店を再開した白土喜久男さん(55)は「除染も復興も進まず、今の政権には任せていられない」と解散を先延ばしにしてきた野田佳彦首相に怒りをぶつけた。〔共同〕