サノフィCEO「過去と決別し革新」 世界経営者会議
第14回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、米ハーバード・ビジネス・スクール)が29日、都内の帝国ホテル東京で開幕した。「混迷の時代に克(か)つリーダーシップ」と題して、世界の有力企業トップが討論。仏サノフィのクリストファー・ヴィーバッハー最高経営責任者(CEO)は「過去との決別が革新を生む」と述べ、携帯端末などIT(情報技術)と創薬の融合を進める考えを示した。
会議は30日まで開かれる。29日午前は「変化の先を読む経営戦略」をテーマに講演した。
ヴィーバッハーCEOは「ヘルスケアは経済成長を促進するカギ」と述べた。日本を先頭に各国で少子高齢化が進むなかで、予防医療や患者自身による体調管理を進めることで医療費抑制を目指すべきだとした。
例えば、米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」で毎日の体調を調べるなどし、医師などと連携して患者も疾患管理に責任を持つ仕組みなどを提案。「単に薬を売るだけでなく、創薬とITとの統合型医療サービスを提供する」と語った。
さらに「過去200年の経済成長の半分が、医学研究の成果によりもたらされた」と医療分野の革新が強さの源泉になるとした。その上で革新を起こすためには開かれた企業風土が重要との見方を示した。
フラッシュメモリー大手、米サンディスクのサンジェイ・メロートラ社長兼CEOは、フラッシュメモリーが写真用フィルムやフロッピーディスク市場に取って代わったことに言及、日本の経営者に対して「競争の激しい(世界の)環境に対応するには、もっとリスクを取るべきだ」と発言した。
開会のあいさつで喜多恒雄・日本経済新聞社社長は「企業経営を取り巻く環境は混迷の度を深めている。難局を打開するには経営者の強いリーダーシップが必要。トップの決断なくして、企業の持続的な発展はありえない」と述べた。