全原発の安全審査、やり直し 規制委員長が方針
再稼働は来春以降に
原子力発電所の新たな安全規制を担う原子力規制委員会が19日発足し、田中俊一委員長らが会見した。原発の安全基準について、従来のストレステスト(耐性調査)を含む暫定基準は「十分ではない」とし、全原発の審査を一からやり直す考えを示した。新基準づくりには少なくとも数カ月はかかるとみられ、次の原発の再稼働は早くとも来春以降になる見通しだ。
政府はこれまで暫定基準で再稼働を判断するとし、電力会社は30基の原発のストレステストの結果を提出した。だが田中委員長は「ストレステストにとらわれる必要はない」と言及。再稼働候補だった四国電力伊方3号機(愛媛県)なども改めて新基準で判断し直す。
再稼働が遅れると、北海道などで今冬に厳しい電力需給が予想されるほか、電力会社の経営にも影響が出る恐れがある。田中委員長は「政策的に判断しない」と述べ、安全性だけで判断することを強調した。基準づくりが難航すれば、来夏の再稼働が微妙になってくる。