肝臓難病の遺伝子特定 東大など、発病に関わる2種
厚生労働省の指定難病「原発性胆汁性肝硬変」で、日本人患者の発病に関わる2種類の遺伝子を特定したと長崎大と東京大、国立病院機構などのチームが20日付の米専門誌電子版に発表した。
原発性胆汁性肝硬変は小さな胆管が炎症で破壊され、胆汁が肝臓にたまることで起こる。重症化すると肝不全になり、移植が必要となる。患者は全国で5万~6万人と推定され、中高年の女性に多い。遺伝子の特定により、チームは「根本的な治療法の開発が期待される」としている。
チームは全国の患者約1300人と健康な約1100人で、遺伝子配列の個人差を比較。患者では、免疫に関わる「TNFSF15」と「POU2AF1」という遺伝子に変異がある人が多いことが分かった。これらの遺伝子が過剰に働いてリンパ球の一種が大量に作られるなどし、自分の胆管を攻撃すると考えられるという。
欧米人を対象としたこれまでの研究では、この病気に関する遺伝子が21種類見つかっていた。今回の2種類は欧米人の発病に関わっておらず、発病に関係する遺伝子が日本人と欧米人で異なることが分かった。〔共同〕