維新、衆院で単独過半数めざす 橋下氏会見詳報
地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹・大阪市長は8日の記者会見で国政進出の狙いなどを語った。質疑の概要は以下の通り。
今の国家運営に嫌気さした
――全体会合で何が決まったのか?
「国政政党を目指すという方向性が一番の決定事項。次の衆院選までは僕が代表をし、新しい国会議員が誕生したら代表選もやる。党の名称は『日本維新の会(にっぽんいしんのかい)』に決まった」
――今後のスケジュールは?
「まだ国会議員ゼロ。大阪維新の会の内部手続きで国政政党『日本維新の会』を作ると決めたところです。政党要件を満たしていない」
――維新八策の最終案も了承されたのか?
「最終案はまだ議論して修正するかもしれないが、維新八策は党の綱領にした」
――目標は第1党か?
「政治的な決定をやる以上は過半数だ。ただほかの党と選挙後に連携、協議して政策実現する、という意味での過半数を含む。基本的に過半数を目標にするが、過半数絶対主義も改めるべき大きなテーマだ。過半数をめざすが、絶対目標ではないと思っている」
――衆院で過半数とっても、参議院で議席がない。
「衆院、参院それぞれ多数をとったところが与党の責任を負わないといけない。衆参のねじれがあるのに、民主党だけに与党の責任を負わす考え方がおかしい。参院で過半数がないから何も決められないという考え方は、もうおかしいと思う」
――地域政党「大阪維新の会」の地方議員も新党の党員になるのか?
「日本維新の会のもとに大阪維新の会もある。できればいろいろな地方でも同じような地域政党が形成され、日本維新の会のもとに入ってくれれば」
――地域政党が国政に進出する理由は何か?
「国政へ働き掛けないと大阪都構想は完成できない。実際に大阪都をつくろうと思えば、いくつも法律の壁にぶつかる。霞が関や永田町で決めたルールで地方は縛られていて、大阪都構想を実現しようと思っても今回の法案だけでは足りない。これからも国会議員が動いてくれるとは限らない。ならば自分たちでやろうというのが1点。それとつくづく、今の国家運営の仕組み、統治機構に嫌気がさした。永田町や霞が関のドタバタ劇でも地方交付税が影響を受けている。自治体が自立するためには、国会の、統治機構の根っこを変えないといけない。国の根っこの部分を変える、国の統治機構を変える、国と地方のあり方を変える、ということで国政に挑戦することになった」
――自ら国政進出しないといけないと考えた理由は?
「国会議員は地方行政の現場を知っている人が少ない。ありとあらゆるところに法律の問題があり、生活保護も教育行政でも、すべて法律の壁にぶちあたる。自治体によって国民の生活が支えられている面も大きい。地方の現場の実情、細かな現実の問題を知らず、国政を運営するのは違うと思う」
大阪にいても全く問題ない
――国政進出はいつごろから考えていたのか?
「大阪府知事就任直後から思いはどんどん強まっていた。永田町や霞が関が全然現場を知らない。国は国の役割に集中すればいい。国の形を変えないと大変なことになる。日本の政治行政が機能していない、疲弊しきっていると知事就任直後から感じた」
――大阪の有権者から理解は得られるか?
「僕や松井一郎・大阪府知事は市政、府政を引き続きしっかりやる。その点は市民のみなさんにしっかり評価してもらおうと思う」
――党首と首長の兼任は、どのような仕事の仕方になるか?
「全力でやるしかない。与えられた時間は1日24時間を使って全力でやる。できるかどうかはやってみないとわからない。国民の皆さんにできていないと思われれば、審判が下されるんじゃないか」
――東京と大阪のバランスは?
「東京にいないといけないのか。今は通信手段も発達している。いくらでもやりようがある。組織で役割分担をすれば、大阪にいてもまったく問題ない」
――大阪にいることが多いのか?
「大阪市長ですし、なかなか妻のもとを離れるわけにはいかない。お泊まりは厳禁です」
――大阪都構想法案が通ったが、名称が府のまま。都じゃないとだめか?
「名は体を表す。今までの大阪府とは変わっているから、府のままではだめ。それだったら自分たちで変えればいい。だから国政進出を決めた。国会議員の皆さんや永田町、霞が関にお願いばかりの地方行政は嫌だ」
――大阪以外の他の地域の理解は得られないのではないか?
「地方でものごとが決まる仕組みは大阪だけに適用されるものではない。大阪都の実現はすなわち地方の自立なので、大阪だけの問題じゃなくて、日本全国の統治機構にかかわる問題だ」
――衆院選候補者の公募スケジュールは?
「公募の準備は始める。公募(対象)は維新政治塾の塾生、政治行政の経験者。まずは第一候補はここからスタートする。広く誰でも応募を受け付けることにはしない」
――参院選については今の時点でどう考えているか?
「現時点では何も考えていない」
家族は猛反対、話さず決めた
――市長の任期満了までは国政に転じることはないのか?
「僕は大阪市長として都構想を実現しないといけないから。それは大阪市役所でしっかりやる」
――公募では選考委員会を立ち上げるのか?そのトップは誰か?
「立ち上げる。最後の公認権は僕が持つが、準備は選考委員でやる」
――公募は今月中にも始めるのか?
「今月中にやらないと間に合わない」
――いつもと髪形が違うが?
「散髪に行ってから会合に来た。失敗しちゃって。ちょっとまじめにしてと言ったら……」
――髪形は新党結成に向けての気合の現れではないのか?
「全然違う」
――衆院選で過半数取った場合、内閣総理大臣の上に大阪市長がいることになる。
「過半数は目指すけれど……。(記者に対し)どれぐらい本気で言っています?」
――結構、本気ではないのか?
「実際にどこまでやれるか分からないが、今のままじゃだめだ。財源確保にしても消費税の問題にしても、永田町が決めないかぎり地方が決められない。いろんな法律で縛られている。変えようと思ったら永田町、霞が関にお願いしないといけない。僕はこういう日本の国の仕組みにはうんざりだ。もうお願いするぐらいなら自分でやったらいいと思った。人生は1回ぽっきり。命まではとられないでしょうから、1回はやってみる。文句ばかり言わずに、不平不満ばかり言わずに、自分でやってみるということで、今回こういう行動を起こした。実際どうなるかは分からない。あとは国民の皆さんに判断してもらうしかない」
――家族は何と言っているのか?
「猛反対。大反対ですよ。いいかげんにしてと思っているでしょうね」
――話し合いはしたのか?
「何もせずに決めちゃいました。大変です。これからまた説明します」