愛知県、がれき処理中止を発表 知事「要請なくなった」
愛知県の大村秀章知事は23日、東日本大震災で発生した廃棄物(がれき)の受け入れを取りやめると発表した。県は宮城県からの受け入れを想定していたが、環境省と宮城県はできるだけ県内で処理するとして、同日、愛知県に広域処理を要請しないと説明した。
環境省と宮城県の担当者が愛知県庁を訪れ、愛知県で受け入れが始まる時期が来年7月となることなどを挙げ、「宮城県内での処理や既存施設での処理が進んで、広域処理の必要量が減る可能性があり、愛知県に協力を要請する状況ではないと判断した」と申し出た。
大村知事はその後の記者会見で「被災地と国からの要請がなくなったので、災害廃棄物の受け入れの検討をこれ以上進めない」と述べた。
受け入れ施設の整備に向けた調査費などで、すでに数千万円の予算が執行されているが、大村知事は「細野豪志環境相が国費で賄うことを検討すると話した」と説明した。また、がれき受け入れに向けた専任部署は残務整理を経て解散する。
候補地に挙げられていた愛知県内3市の首長は23日夕、大村知事の会見を受けコメントを発表した。知多市の加藤功市長と碧南市の禰宜田政信市長はそろって「適切な判断」とした。田原市の鈴木克幸市長は「今後も職員の派遣など人的支援の継続・充実を図りたい」との所感を公表した。
愛知県は今年3月に県内での受け入れを表明。知多市など3カ所に処分場を設ける方針を打ち出した。受け入れを巡っては、県議会最大会派の自民党が6月定例会で受け入れに向けた関連予算を減額修正し、大村知事がこれを不服として審議をやり直す「再議」に付すなど、混乱もあった。