ポルトガル、追加の財政再建策 労働者の社会保険料上げ
【マドリード=竹内康雄】ポルトガルのコエリョ首相は7日、財政赤字削減に向けた追加の財政再建策を発表した。2013年から労働者の社会保険料を引き上げるのが柱で、給与の11%から18%に変える。ポルトガルは税収減から財政赤字の削減が計画通り進んでおらず、一段の緊縮財政で財政健全化を進める。
コエリョ首相は「11年にポルトガルで起きた金融危機は終わっていない」と訴え、国民に理解を求めた。一方、15%前後の失業率の押し下げるため、企業の社会保険料は23.75%から18%に抑制することも明らかにした。企業が雇用しやすくなるよう後押しする。
ポルトガルは国内総生産(GDP)比の財政赤字を12年に4.5%、13年に3%にする計画。しかし、緊縮財政が景気を下押しし、税収が予想を大幅に下回っているため、金融市場では目標の達成は困難との見方が強まっている。
欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)は昨年5月、ポルトガルに総額780億ユーロの金融支援を行うことを決定。支援は財政健全化などの改革を進めることが条件で、EUとIMFに欧州中央銀行(ECB)を加えた合同調査団(トロイカ)が四半期ごとに改革の進捗を評価し、そのたびに融資を実行してきた。
トロイカは現在、5回目の評価のため、リスボン入りしている。