原発事故時、最大20万人避難 新潟の全市町村が計画
東京電力柏崎刈羽原子力発電所がある新潟県の全30市町村で構成する「市町村による原子力安全対策に関する研究会」は2日、原発事故を想定した避難計画の暫定版をとりまとめた。独自に行った放射性物質の拡散シミュレーションの結果、最大で20万人近くが避難を迫られる。原発立地自治体以外で避難計画の概要をまとめた市町村は全国初という。
暫定版の避難計画によると、小中学校や公共施設に加えて、新潟県旅館ホテル組合に加盟する民間の宿泊施設を避難先として想定している。避難の交通手段はバスや自家用車を使う。
シミュレーションは風向きに応じて10種類の拡散パターンを想定。原発からの方角と距離に応じて人口を調べ、避難すべき人数を試算した。西風が吹いた場合、長岡市中心部が避難エリアに含まれ、避難対象人口は最大19万9500人に達するという。原発事故時に北風が吹いた場合、糸魚川・妙高方面で避難施設の収容能力が不足することも分かった。
会合後に記者会見した長岡市の森民夫市長は「これだけ詳しい避難計画の骨子は全国でもほかにない。今後は各市町村が持ち帰って具体的な計画策定を考えていくことになる」と説明した。長岡市は地域防災計画を今年度中につくる予定。