自民が第1党の勢い 民主は解散決断で差縮める
本社世論調査
日本経済新聞社が実施した世論調査で、自民党は来月16日投開票の衆院選で投票したい政党先や政党支持率で他党をリードし、選挙後に第1党になる勢いを維持した。ただ足元では陰りもみえる。民主党は野田佳彦首相が党首討論での電撃的な衆院解散宣言の効果で支持率をやや持ち直し、自民との差を縮めた。民自対決に「第三極」が絡む構図が明確になってきた。
自民は衆院選の投票先や政党支持率で民主を7~9ポイント上回り、首位を保った。次の首相にふさわしいのはどちらかを聞いた質問でも安倍晋三総裁が野田首相を10ポイント以上引き離した。党執行部は3年4カ月ぶりの政権奪還に自信を深めている。
半面、衆院選での投票先や政党支持率は総裁選直後の9月調査からともに10ポイント下落した。「ふさわしい首相」でも安倍総裁の回答が9月調査から4ポイント下がるなど、党勢回復ペースは鈍化している。石破茂幹事長は18日の香川県内の街頭演説で「最大の緊張感をもって選挙に臨む。少しでも緩みがあればこの選挙は負ける」と引き締めた。
民主は衆院選での投票先と政党支持率が10月の前回調査から上がり、最近の退潮傾向に歯止めをかけた。内閣支持率も27%と7ポイント上昇。前月調査比で13ポイント急落した10月調査から持ち直した。
首相は14日の党首討論で、安倍氏に国会議員の定数削減の実現などを訴え、協力を条件に衆院解散する意向を表明。その後協力を取り付けると、16日に解散に踏み切った。首相の解散判断を「適切だった」としたのは57%と、「適切でなかった」の30%を大きく上回った。民主支持層の61%、自民支持層の63%が首相の判断を評価した。
首相は懸案だった赤字国債発行法や、最高裁が違憲状態と指摘した衆院小選挙区の「1票の格差」の是正法などを成立にこぎ着けた。「決められない政治」への不満を強める有権者が首相の言動を好意的に受け止めた可能性がある。