大飯3号機を再起動 原発ゼロ2カ月で終わる
関西電力は1日、大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町)を再起動した。2日午前6時ごろには核分裂反応が連続して起きる「臨界」に達し、8日にもフル出力になる見通しだ。国内すべての原発が止まった状態は約2カ月で終わる。一方、政府による節電強化の要請が2日から始まる。当面は関西電力の管内で、猛暑だった2010年に比べ15%以上の節電を求める。
大飯原発では1日午後9時ごろ、3号機の原子炉を起動した。周辺で再稼働の反対派による道路封鎖などがあり、作業に立ち会う経済産業省の牧野聖修副大臣は船で海側から敷地に入った。
東京電力の福島第1原発事故後に原発が再起動するのは初めて。点検で止まっていた大飯3号機が再び動くのは1年3カ月ぶりになる。牧野副大臣は「政府としても避けて通れない一歩を踏み出した」と語った。関電の豊松秀己副社長は「フル稼働へ安全最優先でやっていく」と述べた。
3号機では4日から6日にかけて発電を始める予定だ。関電は17日に大飯4号機を動かし、24~31日にかけてフル出力の到達を目指す。
政府はおおい町のオフサイトセンターを拠点とした「特別な監視体制」を敷く。新しい原子力規制機関の発足が秋にずれ込んだための例外措置としている。経産省の副大臣らが今後も現地入りし、緊急時に迅速な対応ができるようにする。
大飯3号機がフル稼働すれば、関電管内に118万キロワットの電力が供給できる。揚水発電による供給力も増えるため、合計170万キロワットの電力需給の改善が見込める。
政府が節電の強化を求める期間は2日から9月28日までの日程とする。数値目標を伴う節電を北海道や九州など合計7電力管内で実施する。
大飯原発がフル出力に達すれば、西日本地域で節電の数値目標を順次緩める。予想外の猛暑や火力発電所のトラブルの恐れを踏まえ、計画停電に向けた準備は北海道、関西、四国、九州の4電力の管内で続ける。