個人線量計、装着し忘れや充電切れ 福島・宮城でモデル事業
東京電力福島第1原子力発電所事故で避難した住民の帰還に向け、環境省は22日までに、福島、宮城両県で個人線量計による測定について評価するモデル事業を実施し、報告書をまとめた。適切に使用すれば正確な被曝(ひばく)線量を把握できる一方で、線量計を常時装着する住民が少なかったり、種類によっては頻繁に充電が必要だったり、課題も浮かび上がった。
調査は環境省の委託を受けた原子力安全研究協会が昨年2月~今年3月、福島県田村市、川俣町、宮城県丸森町などで実施した。
報告書によると、田村市の住民11人を対象に、2週間分の行動記録と個人線量計の実測値を分析。どこで何をしたときに被曝線量が高かったかなど、線量と行動パターンの関係が把握できることを確認した。
線量計の装着率は、除染作業など線量が高い場所で行動する人は線量計を普段から身に着けていたが、全体的には室内に置きっぱなしにする人が目立った。
宮城県丸森町では29人に10分間隔で測定するタイプの線量計を配布。充電が切れて測定できなかったり、携帯電話や防災無線などの影響とみられる大きな値が瞬間的に記録されたりするケースがあった。
川俣町では5人を対象に、1時間間隔で被曝線量を測定するタイプと、検出感度が高く10分間隔で測定するタイプの2種類の線量計で測定し、ほぼ同じ傾向だった。1時間間隔で測定するタイプは約1年間連続で使用でき、「日常的な測定に適している」としている。〔共同〕