第三極に「期待」と「不安」交錯
クイックVote第97回解説 編集委員 大石格
大阪維新の会など第三極の政治勢力をどうみるか。電子版読者の回答は「期待する」と「期待しない」が半々でした。既成政党にない新鮮さに期待を抱きつつも、橋下徹大阪市長の過激な言動を含め、実行力には不安を隠せない。相反する心情が交錯する様子がうかがえます。
これまでも政治が行き詰まるたびに新党ブームがありました。新自由クラブ(1976~86年)や日本新党(1992~94年)が代表例です。
橋下市長が代表を務める大阪維新の会や河村たかし名古屋市長が率いる減税日本なども全国的なブームを巻き起こせるでしょうか。読者の意見を読んでいると、そこまでいくのは難しいのかな、と感じます。
その理由は「期待する」との回答に寄せられたコメントと、「期待しない」という方の言葉がほとんど同じだったからです。
「期待する」と答えた読者の主なご意見です。
○既成政党に全く魅力がないので、やむを得ず期待する(68歳、男性)
○既成政党に期待できるところがないので、新しい勢力に期待したい(36歳、女性)
○実績がなく、ますます政治が混迷してしまう可能性があり、悩ましい限り(63歳、男性)
3番目のコメントは「期待しない」と答えた方の書き込みかと思ったら、「期待する」に投じた方でした。「期待が51%、期待しないが49%」などと全体の結果を書き写したのかと思ったら、その方の感想だったというコメントもありました。
要約すると「既成政党は頼むに足りず」ということでしょう。「橋下市長の政策に共感する」(67歳、男性)という積極的な支持もありましたが、全体としては「何が何でも第三極」とブームといえるような盛り上がりはないようです。自民党に飽き飽きしたので、さほど期待しない民主党に投票した人が多かった2009年の衆院選の構図に似ています。
第三極に「期待できない」としている読者のコメントには「実行力のある有能な人材を多数立候補させれば話は別」(72歳、男性)というご意見もありました。
既成政党に属したままではおよそ当選できない議員たちの駆け込み寺になるのだろうから期待していないが、信頼できる大物が移籍してくれば見直すこともある。そんな感じでしょうか。大阪維新の会の松井一郎大阪府知事が自民党の安倍晋三元首相との連携に動いたのも、こうした事情をよくわかっているからでしょう。
回答総数 | 3049 |
---|---|
男性 | 95% |
女性 | 5% |
20代 | 3% |
30代 | 10% |
40代 | 19% |
50代 | 25% |
60代 | 30% |
70代 | 11% |
80代以上 | 1% |
次の衆院選がいつかは野田佳彦首相の腹づもり次第ですが、現時点では10月解散―11月投票が本命視されています。
有権者に受けのよくない消費増税だけで信を問うのは心もとないので、秋の臨時国会で2012年度の補正予算案を成立させ、公共事業などを少しばらまいてから投票日を迎えたい、というのが民主党や自民党のほとんどの現職議員の考えです。
読者の希望はもう少し早めの解散です。「9月8日までの今国会の会期中」が全体の4割弱を占め、最多でした。
○すっきりしたい(74歳、男性)
○一日も早く本格政権を成立させてほしい(72歳、男性)
などでした。「民主党政権はうんざり。早期解散を」と「増税を決めたのだから、さっさと信を問え」という理由に大別できました。
次いで「秋の臨時国会」が多く、この2つの合計、つまり年内解散待望で約7割に達しました。民主党の輿石東幹事長は「選挙は来年夏でよい」と主張していますが、そこまでもたせるのはまず無理でしょう。
◇
解散時期の判断にも影響する野田内閣の支持率は34.0%でした。前週(35.5%)よりさらに下がり、30%割れが目前になってきました。
社会保障と税の一体改革法の成立後の政権の目標がはっきりせず、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加表明も決断できずに先送り状態。外交・安保では領土問題で有効な手を打てないままです。支持率アップになりそうな要素はあまり見当たりません。
この局面で本当に秋に解散するのか。野田首相も苦悩していることでしょう。