野村、渡部CEO辞任を発表 後任は永井氏が兼務
野村ホールディングスは26日、渡部賢一グループ最高経営責任者(CEO、59)が31日付で辞任すると発表した。後任には永井浩二・野村証券社長(53)が8月1日付で就任する。営業社員らが企業の未公開の増資情報を外部に伝えていた問題の責任を明確にし、信頼と収益力の回復を急ぐ。
同時に柴田拓美グループ最高執行責任者(COO、59)も辞任し、後任に吉川淳専務(58)が就く。渡部氏は常任顧問、柴田氏は顧問となる。永井新CEOは26日の会見で「(常任顧問や顧問は)一切経営には関与しない」と語った。
野村は2008年以来、グループを率いた渡部・柴田両氏の辞任で増資インサイダーへの関与に「けじめ」をつけたい考え。渡部氏は会見で「改善策に一定の進捗をみた」と辞任の理由を説明した。
野村は増資インサイダーについて進めてきた追加調査結果も発表した。明らかになっている国際石油開発帝石、みずほフィナンシャルグループ、東京電力の3件以外にも「社員から情報伝達された可能性が高いと判断される複数の事例が確認された」という。調査を続け、不審な取引や情報伝達が確認されれば証券取引等監視委員会や金融庁に報告する。通話録音の保存期間を2週間から2年に延ばすなど再発防止策に取り組む。
新CEOとなる永井氏は「社会的使命や倫理観が希薄化していた。新体制で修正する」と語った。永井氏は野村証券社長を兼務する一方、多田斎・野村証券会長(57)は退任し若返りを図る。
野村は26日、12年4~6月期連結決算(米国会計基準)も発表し、純利益が18億円と前年同期に比べ89%減った。株式相場の低迷の影響を大きく受けたホールセール(法人向け)部門が赤字となった。足元では増資インサイダー問題の影響も「ないとは言えない」(中川順子執行役)という。
関連企業・業界