九州豪雨、10人死亡18人不明 気象庁が警戒呼び掛け
活発な梅雨前線の影響で九州は12日、熊本県で1時間に100ミリを超す雨量になるなど、記録的な豪雨に見舞われた。熊本、大分両県では、河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、10人が死亡、18人が行方不明となった。気象庁は「これまでに経験したことのないような大雨」として、厳重な警戒を呼び掛けた。
熊本県によると、阿蘇市一の宮町では土砂崩れで家屋が倒壊するなどして23~87歳の男女9人が死亡した。また阿蘇市で15人、南阿蘇村で2人が行方不明となっている。
大分県竹田市では市中心部を流れる玉来川が氾濫。大分県警や消防によると、近くに住む長谷川正和さん(74)が川に流され遺体で見つかった。同市荻町では80歳男性が行方不明となっている。
気象庁によると、熊本県阿蘇市乙姫で12日正午までの24時間の降水量が507.5ミリに達し、観測史上最多となったほか、阿蘇山で392.5ミリを記録した。気象レーダーによる解析では、午前6時ごろまでの1時間に阿蘇市付近で120ミリ以上の猛烈な雨が降ったとみられる。
この雨で、熊本・大分両県では避難指示や避難勧告が相次いだ。熊本県は午後4時時点で、熊本市の一部と南阿蘇村の262世帯に避難指示、阿蘇市や産山村など7市町村が計約7千世帯に避難勧告を発令している。
一方、大分県などによると、竹田市では民家1戸が増水した玉来川に流され全壊。同市は6598世帯・1万4599人に避難を指示。同県豊後大野市も一時、145世帯425人に避難指示を発令した。
熊本県は陸上自衛隊に熊本市、阿蘇市、南阿蘇村への災害派遣を要請した。大分県も竹田市の一部を対象に災害派遣要請を出した。
九州電力によると、熊本、大分両県の最大計約1万100戸が停電し、12日午後7時時点で2800戸が復旧していない。JR九州は九州新幹線の熊本―鹿児島中央間などで一時運転を見合わせた。