札幌市、今夏2段階で節電 緊急時に上積み
札幌市は28日、電力緊急対策本部会議を開き、今夏の市施設の節電対策をまとめた。2段階で対策を講じるのが特徴。まず常時の対応として白石清掃工場の一部施設の停止や、水道施設の配水ポンプの運転を電力消費の少ない夜間へのシフトなどで、2010年比で9.7%節電する。火力発電所の停止など緊急時にはさらに3.6%を上積みし、合計で13.3%の削減が可能としている。
節電時期は政府や北電が求める7月23日~9月14日の平日とする。2010年の夏場のピーク時の使用電力11万2490キロワットに対してどれだけ削減できるかをまとめた。大別して市民に影響の少ない常時対応と、緊急時対応に分けて算出。関係施設の売電は節電効果と見なした。
上田文雄市長は28日の同会議で「大きな目標を掲げ、市が先頭に立って取り組む」と職員に発破をかけた。
常時の対策で最も効果があるのは清掃工場の節電。白石清掃工場にある灰を固める施設の運転を停止するほか、発電できる白石清掃工場の定期整備を8月から9月以降へ先送りし売電する。清掃工場関連の対策で3206キロワットの節電効果を見込む。
併せて地下鉄駅事務所や車両の照明間引きなどで2239キロワット節電する方針。市庁舎では照明の間引きやエレベーターの使用制限、発光ダイオード(LED)照明への交換などで943キロワット削減する。
一方で地下鉄運行ダイヤの間引き運転などは市民生活に影響が大きいため、緊急時の対策とする。火力発電所の故障などで北海道電力から追加要請のない限り、実施しない方向だ。夏場よりも消費電力の多い冬に向けての検討材料とする意味合いもある。
政府や北電の求める節電は7%以上。札幌市がこの要請を上回る対策を打ち出した背景には、上田市長がこだわる脱原発依存への思いがある。
「10%が1つの目安」。上田文雄市長は4月の記者会見で唐突に札幌市の節電目標を掲げた。当時は事務方と詰め合わせた数字ではなく、札幌市幹部も寝耳に水。「あくまでも市長の思い」(市職員)からの発言だったが、今回精査した結果10%に近い対策を打ち出した。札幌市は6月中にも市民や企業にも節電を促す対策をまとめ、節電運動を広げていく考えだ。
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