東電和解手続き遅れる 異例の賠償上乗せ 紛争解決センター
文部科学省の原子力損害賠償紛争解決センターは6日、東京電力の福島第1原発事故被害者に対する賠償の和解手続きが遅れているため、不当に遅らせた場合、和解金に年5%の遅延損害金を上乗せできる基準を新たに設けた、と発表した。
同センターは、和解提案に期限までに回答しないなど東電の対応に消極的な姿勢が目立つと批判しており、異例の賠償上乗せ導入で手続きの迅速化を促す。
紛争解決センターによると、東電が対応の遅れについて十分説明しないほか、ささいな理由で争うなどして手続きが遅れるケースが、この春以降、増えている。
原発の10キロ圏内に自宅がある30歳代の自営業男性は、事業再開を目指し、昨年9月に和解を申し立てた。しかし東電が和解を受け入れたのは今年6月で、同センターによる和解提案からは約3カ月もかかったという。
紛争解決センターは「会社の方針に問題があるのではないか。東電は態度を改めるべきだ」と指摘している。
東電は6日、こうした指摘に対し、書類の審査などに時間を要したと説明。「関係者を厳重に注意するとともに、和解案の尊重を社内で徹底する」とのコメントを発表した。
紛争解決センターへの申請件数は4日までに3036件に達したが、このうち和解が成立したのは289件にとどまっている。〔共同〕