トキの幼鳥、大空へ 佐渡で杉林周辺飛び回る
環境省は30日、新潟県佐渡市で巣立ちした国の特別天然記念物トキの幼鳥1羽が、巣があった杉林近くの住宅の屋根に止まったり、周辺を飛び回ったりしているのを確認した。トキが人工物に止まるのは極めて珍しいという。
同省によると、4月に生まれ、25~27日に国内の野生では38年ぶりに巣立ちが確認された3羽のうちの1羽。一定の距離を飛ぶ姿が目撃されたのは初めてで、約2カ月後とされる自立に向けて順調に成長している様子をうかがわせた。
同省によると、30日午前4時45分ごろ、幼鳥1羽が杉林からふらつきながら10~20メートルの高さで飛んで出て、10~20秒後に再び林に戻った。その後は最長で約300メートル離れた場所まで飛び、高さ7メートルの平屋建て住宅の屋根に止まり、周囲の様子を見渡すなど落ち着かない様子だったという。
両翼を広げると約130センチとみられる。
親鳥は昨年3月に放鳥された3歳雄と2歳雌で、同じ巣に3羽のひなが誕生。巣立ち後もしばらくは親鳥と行動を共にして餌をもらいながら、自分で餌を取ることを覚える。
環境省の長田啓首席自然保護官は「2羽目、3羽目も林の外に出て、親鳥と餌を取る様子が早く見たい」と喜んだ。
佐渡市内では3羽のほか、別の2組に計5羽のひなが確認されており、順調なら6月下旬にかけて順次巣立ちを迎える。〔共同〕