アスペルガーなど発達障害、前頭葉で神経活動低下
京大チーム発表
アスペルガー症候群などの発達障害の中で、表情から相手の感情を読み取るコミュニケーションが難しくなっている人は、脳の「前頭葉」で一部の神経活動が低下している可能性が高いとの研究結果を京都大の佐藤弥特定准教授(神経科学)らのチームがまとめ、18日までに発表した。
これまでこうしたケースの脳のメカニズムは不明で、チームはより正確な診断基準や、表情によるコミュニケーションを改善する治療法の開発につながると期待されるとしている。
チームによると、この部位は前頭葉の一部である下前頭回。自分の行動と他の人の行動を結び付けて理解する働きがあるとみられる「ミラーニューロン」という神経細胞があるとされている。
研究ではアスペルガー症候群などがある12人と健常な13人に動画で動きのある表情を見せ、その際の脳活動の変化を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で測定。発達障害がある場合の方が、下前頭回の活動が低くなっている割合が高く、チームは「ミラーニューロンがうまく働いていない可能性が高い」としている。
他者の表情の分析に関わる脳の別の部位と、下前頭回の結合が弱くなっていることも確かめており、これも原因の一つとみている。〔共同〕