67回目原爆の日 広島市長「エネ政策の確立を」
広島は6日、67回目の「原爆の日」を迎えた。広島市中区の平和記念公園で開かれた「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)には被爆者や遺族、野田佳彦首相らが参列。松井一実広島市長は平和宣言で原子力発電所を巡るエネルギー政策について「市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策を一刻も早く確立してください」と政府に訴えた。
式典には約5万人が参列。昨年よりも5カ国多く過去2番目に多い71カ国の代表が出席した。核保有国では米国のルース駐日大使が2010年に続き2度目の出席、英仏両国の駐日大使が初めて参列した。国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は欠席し代理者が参加した。
そのほか、広島、長崎への原爆投下を命じたトルーマン米大統領(当時)の孫クリフトン・トルーマン・ダニエルさんや、東京電力福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされている福島県浪江町の馬場有町長も参加した。
原爆が投下された午前8時15分には「平和の鐘」が打ち鳴らされ、参列者全員が1分間の黙とうをささげた。慰霊碑にはこの1年間に死亡、または死亡が確認された5729人の名簿が奉納され、広島の原爆死没者は28万959人となった。
松井市長は被爆者から公募した被爆体験談を紹介し「核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に全力を尽くすことを誓う」と宣言。昨年3月の東日本大震災については「人類にとって忘れ難い日」と言及。被災地が67年前の広島と重なるとして「私たちの心は皆さんとともにある。必ず訪れる明日への希望を信じてほしい」とエールを送った。
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