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スマホで爆走、中国・小米の秘密 AKB真っ青の販促術

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中国の新興スマートフォン(スマホ)メーカー、北京小米科技(シャオミ)の勢いが止まらない。2013年は出荷台数を1870万台と前年の2.6倍に増やし、14年も倍増の目標を掲げた。成熟した日本の電機業界からは想像もつかない急成長のカギは、「劇場型」とも呼べる小米独特のマーケティング手法にある。

創業5年で「100億ドル」クラブ入りか

「我々は14年に、少なくとも4000万台を出荷することを約束する」。小米創業者の雷軍・董事長兼最高経営責任者(CEO)は1月2日、中国独自のミニブログ「微博(ウェイボ)」を通じてこう語った。13年の売上高は316億元(約5280億円)と前年の2.5倍に増加。非上場なので損益などは未公表だが、出荷目標から推計すると14年の売上高は日本円換算で1兆円を越す可能性がある。

小米は10年4月に創業したばかりの新興企業。にもかかわらずわずか5年で「年商100億ドル(約1兆100億円)企業」に仲間入りできれば、世界の産業史に残る快挙といえよう。背景にはLSI(大規模集積回路)の進化でスマホ開発が容易になったことや、5億人がスマホでインターネットに接続する中国市場の巨大さがある。

では、小米の成長スピードが中国勢のなかでも突出しているのはなぜか。清華大学経済管理学院の姜旭平教授は「交流サイト(SNS)を利用したマーケティングが非常にうまい」ことが、他の中国スマホメーカーの最大の違いだと指摘する。

小米が1月10日に開いた社員の忘年会「小米全民年会」。そこでもマーケティングのうまさが際立っていた。「秘密のゲストはスティーブ・ウォズニアックだ」。雷董事長は北京市内の会場で、社員約4000人に米アップル共同創業者のウォズニアック氏を紹介した。アップルのパソコン1号機「アップル1」を設計した同氏は、中国のIT(情報技術)業界でも伝説の存在。「小米は偉大な企業となり、世界を変える力を持ちうる」との言葉に、社員は総立ちとなった。

忘年会ではこのほか、米グーグル出身のヒューゴ・バーラ副総裁がシンガポールとマレーシアへの進出など国際化について説明。ほかの経営幹部も次々と舞台に立ち、14年の目標などを語った。

中華圏の企業には、春節(旧正月)を前に全社員が参加する忘年会を開く習慣がある。小米が他社と異なったのは、忘年会の様子を微博で生中継した点にある。この日は会社の公式アカウントだけで10本の「つぶやき」を流し、最多のもので4万件以上が転送(リツイート)された。約800万人のフォロワーを持つ雷董事長や社員も個人アカウントで忘年会について投稿しており、社内イベントにもかかわらずネット上では情報がかなり拡散したようだ。

「小米ファン」がネットで参加できる抽選会も開いた。小米を身近に感じ、新製品や経営の情報を共有できる環境を築くのも小米流だ。「我々はユーザーと友達として付き合い、遊び続けねばならない」。雷董事長は年初に全社員に送ったメールで、14年の重点施策としてユーザーとの交流強化を挙げた。

その枠組みは忘年会だけではない。例えば小米が「MIUI」と名付けた独自開発のスマホ用ファームウエア。機器の基本制御をつかさどるソフトであるファームウエアは一般に、頻繁に更新するものではない。しかし小米は最新版を毎週開発し、金曜日にネット経由で無料配布している。

公式ホームページにはMIUIに関する電子掲示板を設け、ユーザーが最新版の使い勝手などを書き込めるようにしている。IT機器に興味を持つ20~30歳代の若者を引き付ける狙いだ。MIUIのユーザー数は現在、約3300万人。スマホの潜在顧客といえる。

改良するとユーザーにネット投票を呼びかけ

小米は100人規模の専門組織「社交媒体部」を設け、社員が微博やMIUIなどネット経由でユーザーと交流するのを奨励している。交流に加わるユーザーは「IT知識の豊富な若者が多い」(小米の若手社員)ため、社内の技術者と互角の議論になる例もあるという。

技術者が交流で得た提案をもとにMIUIなどを改良すると、ユーザーにネット投票を呼びかける。高い得票の案件は表彰される制度まである。新製品の情報流出を嫌うアップルなど従来のスマホメーカーでは考えられないマーケティング手法だ。

「小米の成長の仕組みは日本人には説明しやすい。中国のモバイルネット業界のAKB48だと考えてもらえばいい」。日本のアイドル事情に詳しい小米社員はこう例える。AKB48は東京・秋葉原の専用劇場に「会いに行けるアイドル」がコンセプト。シングル曲を歌うメンバーをファンが「総選挙」で選ぶ。小米は「会いに行けるスマホメーカー」というわけだ。

節目のイベントは微博で実況し、ネット上で劇場に似た環境を演出。スマホや関連サービスの仕様もユーザーの投票で決める。「ファン(ユーザー)とともに成長していく」マーケティングの手法は、確かにAKB48のやり方と酷似している。

雷董事長はネットを通じたユーザーとの交流で「小米のエコシステム(生態系)が形成されつつある」と自賛する。エコシステムの中に入ったユーザーは、スマホ以外でも小米に忠誠心を示す。13年には、小米が手掛けたウサギのキャラクター「米兎」の人形が50万体以上売れる現象も起こった。

小米のマーケティングは「顧客に小米が自分の一部だと思わせることにまで成功している」(清華大の姜教授)という。業務用通信機から出発した華為技術(ファーウェイ)やパソコンから多角化したレノボ・グループなどと比べると、同じ中国勢でも明らかに異質だ。

ただ、かつてない手法で成長してきただけに、経営の歯車がいったん逆回転すれば予想を超える速さで勢いが衰える可能性もある。間違いなく言えることは、部品供給などで小米と付き合う日本企業は、日本の電機業界の常識が通用しない存在であることを肝に銘じておかねばならないことだろう。

(中国総局 山田周平)

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