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完全に透明な氷、家庭でも作れた 氷屋の製法を応用

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 夏になると、冷たい氷に心をひかれる。涼しげで、飲み物に氷が溶ける音色も心地よい。お店で売っている氷は透明できれいだが、家で毎日使うと結構な出費になる。家計のためにも、透明な氷を家庭の冷凍庫で作ることができないか。ウイスキーや焼酎をロックで飲むのが大好きな記者(34)が、美しい氷作りに挑んだ。

まずは普通に家で氷を作ってみる。冷凍庫の小さな製氷コーナーに水道水を入れる。冷凍庫内の温度はマイナス20度。寝る前にセットして約8時間後、出来上がった氷はバラツキはあるものの、全体の4分の1程度は白く濁った部分が残ってしまう。

軟水ミネラルは濁り部分少なく

どうして濁りができるのだろうか。氷に関する本を調べてみると、水に含まれる空気が気泡になった状態で固まり、白く濁って見えるらしい。さらに水に含まれる不純物も濁りになるという。水道水の場合は塩素、ミネラルウオーターならカルシウムなどのミネラルが不純物にあたる。

不純物が原因なら、それを取り除いてから凍らせてみてはどうだろう。水をグツグツと沸騰させれば、不純物も減るのではないか。さらに塩素などが多い水道水ではなく、ミネラルの含有量が少ない軟水タイプのミネラルウオーターを使い、試してみた。

普通の水道水、軟水のミネラルウオーター、沸騰させた水道水と3種類を製氷皿に分けて入れ、マイナス20度で8時間凍らせた。

出来上がった氷を比べるとはっきりと違いが出た。水道水に比べ、沸騰させた水と軟水のミネラルウオーターは、濁った部分が大幅に少ない。最も少ない氷は、全体の8分の1程度しかなかった。

不純物を取り除けば、透明な氷に近づくのは間違いなさそうだ。ただ濁りは減ったとはいえ、店で売っている氷のように完全に透明ではない。2回、3回と繰り返しても結果は変わらなかった。

使う水を工夫する以外に何かコツがあるのだろうか。本職の知恵を借りようと、老舗の製氷会社である中央冷凍産業(東京都千代田区)を訪ねた。相談役の伊藤敏郎さんによると「冷えすぎない温度で、ゆっくり凍らせることがポイントです。ただ、家庭では難しいですよ」。

製氷会社は水を専用のろ過装置に通した後に、マイナス10度でゆっくり凍らせている。ゆっくり凍ることで不純物が空気中に徐々に放出され、透明な氷になるという。自然界でも洞窟などで水滴がしたたり落ち、長い年月をかけて少しずつ凍ると、透明な氷ができる。それと同じ原理だ。

家庭で作る場合に問題となるのは温度設定だ。一般的な冷凍庫はマイナス20度程度と、かなり低い温度に設定されている。最新の冷凍庫は細かい温度調整機能を備えているタイプもあるが、8年前に買った家の冷凍庫にはなかった。

ポンプで対流、底部からじわり

家で完全に透明な氷は作れないのかと落ち込む記者に、伊藤さんは「手間がかかりますが、製氷キットを自作したらどうですか」と提案してくれた。製氷会社と同じ原理を家庭にも応用することができるという。

用意するのは大きく3つ。深さが12センチ以上ある冷凍可能な容器と断熱材、観賞魚の水槽用の水中ポンプだ。ホームセンターで約3000円かけてそろえた。

水がゆっくり凍るように、プラスチックの容器に断熱材を巻き、容器内の温度を上げる。容器の底にも冷気が入り込むように、割り箸を敷いて底上げする。その容器を冷凍庫の中で底部からじわじわと凍らせ、不純物を上に押し上げていく。さらに水中ポンプで水を対流させて表面が凍るのを防ぎ、水から分離した不純物を空気に放出させるという仕組みだ。

大きな装置のため、冷凍庫に入るか不安だったが、庫内を整理して何とか押し込んだ。水中ポンプの電源コードを外にだして閉め、後は待つだけだ。

24時間後、冷凍庫から取り出してみてがっかり。底が凍らずに表面に氷が張っている。どうやら水中ポンプを設置する場所が低すぎ、水面部分が対流していなかったようだ。水面ギリギリにポンプの口がくるように調整して、再度挑んだ。

さらに1日後、ドキドキしながら断熱材を外す。今度は表面は凍っていない。底にできた5センチほどの氷の層を慎重に取り出す。キラキラと輝く完全に透明な氷だ。店で売っている氷と比べても遜色ない。

早速、完成した氷をグラスに入れてウイスキーを垂らす。2週間、妻からの冷たい視線を受けながら冷凍庫を占領し続けたかいがあった。自分で作った氷で飲む酒の味は格別だ。その後、花びらや葉っぱを入れた氷の器も作ってみた。

今回は製氷キットを使って透明な氷を作ったが、大型の容器や水中ポンプまでそろえるのは面倒だと思う人もいるだろう。そんな場合は、沸騰した水を入れた製氷器を断熱材でくるみ、底部に割り箸を置いてゆっくり凍らせる方法がおすすめだ。透明度の高い氷を手軽に作ることができる。

記者のつぶやき
 夏場に氷を求める日本人の思いは深い。冬にできた天然氷を保存する氷室(ひむろ)は、日本書紀にも記述されているという。江戸時代には加賀藩が氷室に保存した氷を将軍家に献上すべく、毎年飛脚を使って約500キロの道のりを運んだ。
 かつては一部の権力者しか味わえなかった夏の氷。歴史を振り返りながらグラスに浮かぶ自作の氷を眺めると、少しぜいたくな気持ちにひたれる。
(田中裕介)

[日経プラスワン2012年6月16日付]

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