韓国大統領、竹島訪問へ出発 まず近くの島に到着
【ソウル=島谷英明】韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は10日午前(日本時間同)、日本と韓国の双方が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)を訪問するためソウルを出発した。韓国大統領が竹島を訪問するのは初めて。竹島の実効支配を誇示し、従軍慰安婦問題への対応を巡り対立する日本に強硬姿勢を鮮明にする狙いで、日韓関係が一段と冷え込むのは避けられない。
李大統領は、まず竹島に近い鬱陵島(ウルルンド)に到着した。青瓦台(大統領府)高官によると「気象条件が許せば独島を訪問」し、島内を視察してから10日中にソウルへ戻る予定だ。文化体育観光相や環境相らが同行したもよう。
李大統領の竹島訪問は15日の光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)を前に、竹島を韓国の領土だと内外に改めて訴える意図がある。韓国が解決への協力を求める従軍慰安婦問題で、日本側が「解決済み」と主張することへの不満を表す意味合いもありそうだ。
李政権は周辺で不正資金を巡る逮捕者が相次ぐなど、来年2月の任期切れを控えてレームダック(死に体)化を食い止められずにいる。国内に反対意見がほとんどない竹島訪問を強行し、求心力を回復したいという側面も大きい。
竹島は日韓が領有権を主張するが、韓国は島内に警備要員を常駐させるなど実効支配を強めている。最近は7月末に日本の防衛白書が竹島を「わが国固有の領土」と記述したことに韓国が強く抗議するなど、両国間の応酬が続いている。