米排ガス規制、日欧並みに 日本車メーカーは歓迎
【ワシントン=川合智之】米環境保護局はガソリンに含まれる硫黄分を6割減らし、日本や欧州と同じ水準にすることを柱とした自動車の新たな排ガス基準を決めた。米国の排ガスの環境対応は州ごとに異なり遅れていたが、他の先進国水準に引き上げて大気汚染と健康被害を減らす。乗用車とトラックなどで2017年モデルから導入する。
新基準はガソリンの硫黄含有量を、現行の最大30PPM(PPMは100万分の1)から日欧並みの10PPMに引き下げる。車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の量を8割、粒子状物質(PM)の量を7割減らす。
環境保護局によると、新しい基準に対応するコストは、自動車1台あたり72ドル(約7400円)上昇するが、燃費向上により8千ドル(約82万円)の燃料費削減につながるという。大気汚染が改善すれば呼吸器疾患が減ることも期待でき、医療費削減などで最大年67億~190億ドル(約6900億~1兆9600億円)の経済効果があるとしている。
米国の新基準を巡り、環境技術に力を入れる日本の自動車メーカーは「硫黄分の少ないガソリンは燃費向上につながる」(トヨタ自動車)、「新基準はスモッグをつくる排ガスをゼロに近づける」(ホンダ)として、歓迎している。「すでに日欧や米国のカリフォルニア州などでは厳しい規制が導入されており、経営への悪影響はない」(関係者)という。
一方、米石油協会は新基準について環境面での利点が少ないうえに「不必要にコストが膨らむ」とする反対声明を発表した。米オバマ政権は温暖化ガスの排出量削減の一環として、排ガス規制の強化を推進している。