労働相談が最多25万6000件 厚労省「いじめ相談増加が要因」
労働者と企業間のトラブルを裁判に持ち込まずに迅速に解決することを目指す「個別労働紛争解決制度」に基づく2011年度の労働相談が、過去最多の約25万6千件に上ったことが29日、厚生労働省のまとめで分かった。同省は「企業の競争環境が厳しくなったことで、職場のいじめ・嫌がらせの相談が増えたことが要因」とみている。
全体では110万9454件の相談が寄せられたが、このうち制度の対象となる民事上の紛争は、25万6343件(前年度比3.8%増)。ほかは労働基準法違反などの相談で、各労働基準監督署などが対応した。
相談を紛争内容ごとに集計し直すと30万5124件。「解雇」が18.9%で最も多く、「いじめ・嫌がらせ」(15.1%)が続いた。解雇に関する相談は5万7785件で前年度比3.9%減ったのに対し、いじめ・嫌がらせは4万5939件で同16.6%増えた。
労働者の内訳は、正社員が約10万6千人で前年度比2.1%減。派遣労働者が同12.3%増の約1万1千人となるなど、非正規社員は増加した。
相談を受け、実際に労働局が企業側に助言・指導をしたのは9590件(同24.7%増)、有識者でつくる紛争調整委員会があっせんに乗り出したケースは6510件(同1.9%増)だった。
厚労省労働紛争処理業務室は「競争環境の激化で同僚をライバル視するようになり、いじめが増えたことや、制度自体の周知が進んだことが相談件数増加の要因」と話している。