スペイン大手銀バンキア国有化へ 1.9兆円支援要請
【ボン(ドイツ西部)=竹内康雄】経営危機に陥っているスペイン大手銀行バンキアは25日、スペイン政府に190億ユーロ(約1.9兆円)の資金支援を要請すると発表した。スペイン政府は応じる見通しで、同行の株式の9割程度を保有するとみられる。大手行の事実上の国有化で、国内だけでなく欧州の金融部門に不安が広がるのを防ぐ考えだ。
バンキアは127億ユーロを不動産資産などの不良債権の引当金にするほか、不良債権になる可能性がある資産の引当金として55億ユーロを積む。
バンキアを巡っては、5月上旬に事実上の公的資金約45億ユーロを注入。23日には政府が「少なくとも90億ユーロの公的資金を注入する用意がある」と表明した。だが、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は25日、バンキアを含むスペインの5銀行を格下げすると発表。不安の拡大を防ぐには資金注入の大幅な積み増しが必要と判断した。
バンキアにつぎ込む公的資金は計235億ユーロに達する。AFP通信は同国で過去最高の救済額になると報じた。
金融市場の不安がバンキア以外の銀行や、スペイン以外の欧州域内の銀行部門にも波及すれば、企業や家計へのお金の巡りが悪くなり、実体経済にさらに悪影響を与える可能性がある。スペイン政府は大規模な公的資金注入で、こうした事態を阻止する方針だ。
バンキアは規模の小さい貯蓄銀行が合併して2010年に発足。不動産関連の融資や資産が多く、スペインの不動産バブル崩壊の影響を最も受けた銀行とされる。デギンドス経済相は「バンキアは特殊な例」と語り、現時点では他の金融機関に同様の懸念はないと主張している。