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サッカー日本、豪州戦で得た「勝ち点1」の代償

サッカージャーナリスト 大住良之

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「あのPKの場面は、何があったのか、私には確認できなかった」(日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督)

「内田はファウルをしていない。私はテレビで確認した」(オーストラ

内田は抱え込むようにしていたが…

12日、オーストラリアのブリスベーンで行われたFIFAワールドカップ2014ブラジル大会のアジア最終予選、オーストラリア―日本戦。後半23分、オーストラリアの左CKの場面だった。

MFウィルクシャーのキックを日本代表GK川島永嗣(リールス)がパンチでクリア。そのとき、ガムディ主審(サウジアラビア)が笛を吹いた。倒れている選手はいない。川島へのファウルをとったのか。

そうではなかった。日本のDF内田篤人(シャルケ)のオーストラリアFWアレックス(清水)へのファウル。オーストラリアにPKが与えられたのだ。そしてこのPKが、日本から「勝ち点2」を奪うことになった。

GK川島の視野を妨害するように、アレックスはゴール内、ゴールラインのすぐ手前に立っていた。内田は背後からアレックスをマークしていた。ウィルクシャーがキックしたとき、内田はたしかにアレックスを抱え込むような動きをしたが、強く引き倒したわけではない。アレックスは少し動いただけだった。

内田、9月のイラク戦は出場停止に

ガムディ主審は、それをファウルとしてオーストラリアにPKを与え、内田にイエローカードを出したのである。

最終予選の初戦だった3日のオマーン戦でイエローカードを受けていた内田。これで累積が2枚となり、9月11日のイラク戦(埼玉スタジアム)は出場停止となった。

そして、そのPKをウィルクシャーがゴール中央上に強く決めて、日本は追いつかれてしまったのだ。

得意の速いパス回しは出せず

この試合が行われたサンコープ・スタジアムのピッチ状態は悪く、日本代表は試合開始直後からボールコントロールに苦しんだ。

その結果、得意の速いパスワークを駆使することができず、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)とFW香川真司(ドルトムント)の個人技に頼る攻撃が主体となった。

オーストラリアのオジェック監督は、日本の攻撃の速さ、集団的な守備の力を警戒し、徹底してケーヒル、アレックスの2トップにロングボールを入れる作戦に出た。

試合序盤、ゴール前に入れたボールのこぼれを拾ったDFカーニーやMFバレリがシュート。日本にとって、危ない場面が連続した。

両センターバックに連続イエローカード

だが、その時間が過ぎると、長いボールを入れられても日本のボランチのポジショニングが良くなり、こぼれ球からの危ない場面がなくなった。そして、なかなかコンビネーションは出せないものの、本田と香川の個人技で日本が攻勢に立つようになった。

しかし、こぼれ球が拾えなくても、オーストラリアはロングボール作戦を執拗に繰り返した。そうした形から、前半22分、ケーヒルが抜けだそうとしたところをDF栗原勇蔵(横浜M)がつかんで、イエローカードを出された。

さらに7分後には、中盤でMF長谷部誠(ウォルフスブルク)がイレギュラーバウンドしたボールをけり損ない、そこからオーストラリアFWアレックスがチャンスをつかみかけると、DF今野泰幸(G大阪)が思わず引っかけてイエローカードをもらった。

今野へのイエローカードは、日本にとって小さからぬ衝撃だった。今野は、昨年10月の3次予選タジキスタン戦の後半27分にイエローカードを受けていた。

オーストラリア戦のイエローカードは通算2枚目。それは次戦、9月11日のイラク戦が出場停止になることを意味していた。

日本は栗原と今野の両センターバックが前半にカードを出され、後半のプレーに影響を与えかねない状況となった。そのうえ、今野の次戦出場停止というショックもあったのである。

10人の相手に襲いかかる

しかし試合は思いがけない展開を見せる。後半10分、オーストラリアMFミリガンがこの日2枚目のイエローカードを受けた。ガムディ主審は最初2枚目であることに気づかず、長谷部に注意を喚起されてようやくレッドカードを出した。

これで試合は一挙に動いた。それまで、ピッチコンディションの影響でパスが安定せず、思い切った上がりができなかった日本選手たちがしっかりとパスをつないでオーストラリア陣に入り、包囲するように攻め立てるようになったのだ。

そして後半20分、日本にとって待望の先制点が入る。右CKを本田が長谷部に短くつなぎ、戻されたボールを受けた本田が強引にゴールライン際を進んだ。そして右足で強いパス。ボールはゴール正面の密集を抜け、いちばん左にいた栗原が正確にミートして、ゴールを揺らした。

しかし、日本のリードは長くは続かなかった。わずか3分後、日本は中盤での緩慢なパスを奪われてピンチを迎え、栗原がかろうじてコーナーキックに逃げた。そして、そのCKからガムディ主審がPKを"演出"してしまったのだ。

明らかにフィットしていなかったガムディ主審

ガムディ主審は、2010年ワールドカップに出場した経歴を持つサウジアラビアの名主審。しかし、ピッチに現れた姿を見て、私は我が目を疑った。大きく腹が出て、明らかに体重オーバーなように映った。

実際、彼はオーストラリアのロングボールだけでなく、日本のサイドチェンジにもついていけず、ひどいときにはプレーから50メートルも離れたところから重要な判定を下していた。

試合の序盤には日本のFW前田遼一(磐田)が胸でボールをコントロールしたのをハンドと判定して笛を吹いた。しかし、そのときガムディ主審は前田のプレーを見ることができる角度にはおらず、明らかに「思いこみ」による笛だったのではないか。

フィジカル面でフィットしていなかっただけではなく、技術面、判断面でも2年前と比較して急激にレベルダウンしているように感じられた。今回のアポイントに当たって、アジアサッカー連盟はどこまでガムディ主審のコンディションをチェックしたのだろうか。

本田のFKをけらせずに終了

ガムディ主審はその後の判定でも、日本にもオーストラリアにも失望を与えた。

失点直後、内田が相手に抜かれ、倒れたまま手でボールを止めたときには、当然出すべきイエローカードを出さなかった(実際に手でさわったかは別にして、主審がそう判断したからには、当然イエローカードを出すべきシーンだった)。

後半44分には栗原に2枚目のカードを出して、栗原は退場となった(これで今野、内田に続き、3人目の次戦出場停止)。これは仕方のないケースだったが、極め付きは後半ロスタイム、日本が相手ゴール前で得たFKを本田がける前に試合終了の笛を吹いてしまったことだった。

たしかに本田は時間をかけすぎたかもしれない。しかし、その前には相手選手が規定の距離離れず、時間を浪費していた。「3分間」と示されたロスタイムが4分を回っても、けらせて当然のケースだった。

右サイドバックは酒井?

結果として日本はアウェーのオーストラリア戦という今回の予選前半の「最大の難所」を1-1で終え、勝ち点1を得た。

しかし、その代償は大きかった。今野、内田、栗原というDFラインの3選手が次戦出場停止となり、いまや日本の大黒柱といっていい本田も後半38分にイエローカードを出されてしまったからだ。

DFラインでは、ヨルダン戦で膝を痛めた吉田麻也(VVVフェンロ)は次戦には出場できるだろう。今野の穴は伊野波雅彦(神戸)が、そして内田の代役の右サイドバックは、若い酒井宏樹(柏)が務めることになるのではないか。

オーストラリア戦でも、ザッケローニ監督は後半28分に内田に代えて酒井を投入している。

内田出場停止の余波は、思いがけないところに出るかもしれない。8月15日に札幌で行われる親善試合のベネズエラ戦では、吉田、伊野波、酒井の3人に左サイドバックの長友佑都(インテル・ミラノ)を加えた「新しいDFライン」がテストされることになるだろう。

最終予選の次戦である9月11日のイラク戦の前、7日にも新潟で親善試合が組まれているが、直前になってからのコンビづくりでは心もとないからだ。

酒井はオリンピックに出られない?

そうなると、酒井をロンドン・オリンピックに出すのは難しくなるかもしれない。ワールドカップ予選だけではなく、内田の出場停止が生む影響はこんなところにも出かねないのだ。

アジア最終予選全8試合のうち集中開催された最初の3連戦が終わった。日本はオマーンに3-0、ヨルダンに6-0とホームで連勝し、アウェーでオーストラリアと1-1で引き分けて勝ち点7。まずは「想定内」の成績といえる。

しかしそれ以上に、9カ月ぶりに日本代表に復帰した本田、そしてドルトムントで大きく成長した香川という攻撃陣の「2枚看板」の力、それにからむFW前田、FW岡崎慎司(シュツットガルト)の好調ぶり、サイドから上がるDF長友、内田らの効果的なからみなど、日本代表が成長を見せた3試合だった。

「勝ち点7という事実より、いかにそれを勝ち取ったか、そのプロセスを私は気に入っている」

そうザッケローニ監督は語った。

アドバンテージを生かせ

DFラインの再編成、荒れたピッチでの攻撃の進め方、ロングボールへの不安定な対応、そして次戦出場停止の3人だけでなく、本田、長谷部、前田の3人も「カード持ち」であることなど、課題や懸念はある。

しかし、これはワールドカップのアジア最終予選。どんなことがあっても最後までおごらず、あきらめず、集中を切らさずに戦い抜くことが何よりも求められていることを忘れてはならない。

6月の3連戦でつかんだ勝ち点7、B組首位というアドバンテージを、今後の戦いに生かしていかなければならないのだ。

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