駿河湾の海底、ひずみ蓄積 短時間で津波到着も
名大と東海大のチームが調査
東海地震が懸念される駿河湾で、海底面を大きく持ち上げ、津波を巨大化させかねないひずみがたまっている場所があることが22日までに、名古屋大と東海大海洋研究所(静岡市)のチームによる調査で分かった。静岡市の清水港まで約10キロと近く、短時間での津波到着も予想され、避難指示が間に合わなくなる恐れもある。
ひずみがたまっているのは、湾の海底にある細長い盆地の下。日本列島周辺は同じ構造を持つ日本海溝や南海トラフなどがあり、駿河湾以外でもひずみがたまっている可能性があるため、研究者は「観測網の整備が急務」と指摘している。
内閣府の中央防災会議は、駿河湾で大きな滑りがあると、湾内でも場所によっては10メートル以上の津波になるとしている。
駿河湾では、2つのプレート(岩板)が重なり合う境目が、駿河トラフという細長い盆地をつくっており、トラフの中心線(軸)付近にひずみがたまっていることが分かった。
トラフの軸周辺は、海側のプレートが陸側のプレートの下にもぐり込んですぐの場所で、海底下5キロまでの比較的浅い部分でひずみがみられた。トラフ軸付近で地震の揺れによりひずみの力が放出されると、海底面を持ち上げ、すぐ上の海水を大きく揺らしやすい。チームの田所敬一・名古屋大准教授は「東日本大震災でも津波を大きくした要因の一つだった」と指摘する。
チームは全地球測位システム(GPS)と音波を利用した機器を使い、海底の変動を調査していた。〔共同〕