目撃者「釣り船がぶつかっていった」 海自艦衝突事故
広島県大竹市沖で海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船が衝突、2人が死亡した事故で、事故直前の両船の動きを現場近くの島から目撃した男性が18日、「釣り船がぶつかっていったように見えた」と証言した。
第6管区海上保安本部もこの証言を把握。救助された釣り船の2人は取材に「おおすみが加速してきて衝突された」と食い違う説明をしていることから、6管は航跡の分析を慎重に進める。
目撃したのは衝突現場の南西約1.4キロにある阿多田島で養殖業を営む男性(40)。15日午前8時前、自宅のある高台から南進するおおすみの右舷が見えた。その直後、沖合に浮かぶ猪子島の陰から、左舷後方に向けて白波を立てて近づく釣り船が出現した。
男性によると、おおすみは汽笛を4、5回鳴らし、3、4回目が鳴ったときに釣り船はおおすみの陰に隠れて見えなくなった。釣り船が前方から再び姿を現さないことを不審に思っていると、おおすみが急に大きく右かじを切り、煙突から黒い煙が上がったという。
自らも日常的に船に乗っている男性は「釣り船はおおすみの倍くらいのスピードが出ていた」と証言した。
インターネット上で公開されている船舶自動識別装置(AIS)の発信データでは、事故通報までの約10分間のおおすみは時速31~32キロ。6管によると、衝突した釣り船と同型の船の最高速度は時速約46.3キロという。〔共同〕