原子力規制委員長、田中俊一氏を国会提示へ
原子炉工学の研究者、政府が人事案
政府は19日、原子力の安全と規制の行政を一元的に担う新組織「原子力規制委員会」の委員長に、元原子力委員会委員長代理の田中俊一氏(67)を充てる人事案を固めた。20日に開く衆参議院運営委員会合同代表者会議に提示する。昨年3月の東京電力福島第1原子力発電所事故で失墜した行政の信頼回復に向けた重責を負う。
田中氏は原子炉工学の研究者で、放射線遮蔽技術の専門家。旧日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)に入った後、同機構の特別顧問や日本原子力学会会長を歴任した。現在は特定非営利活動法人(NPO法人)の放射線安全フォーラム副理事長。事故後に福島県で除染活動に取り組んできた。政府は衆参両院本会議で同意が得られ次第、規制委の発足に向けた準備を急ぐ。
規制委は委員長と委員の計5人で構成し、任期は5年。独立性の高い国家行政組織法第3条に基づく「三条委員会」で、政府は9月3日に発足させる方向だ。原発に重大事故が起こった場合の指揮権を握るほか、原発再稼働の可否を判断する新たな安全基準を作る。
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