検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

超電導、実用化へ日本が先陣

エネルギーを確保せよ(2)

技術で創る未来

詳しくはこちら

発電所でせっかくつくった電気も送電途中で約5%が失われている。このロスをなくすだけでも電力不足解消の有力手段になる。現在注目を集めている技術が「超電導」だ。一定温度まで冷やすと電気抵抗がゼロになる。超電導は蓄電にも役立つ。日本が得意とする研究分野で、世界に先駆けた実用化も狙える。

冷却で電気抵抗ゼロに、送電ロスを削減

「7月にもデータセンターでの利用を想定した直流送電の本格実験を始める」。中部大学(愛知県春日井市)の山口作太郎教授は声を弾ませる。

現在の送電線は電気抵抗のある銅やアルミで交流で送る。基本は100年以上前から不変だ。山口教授が扱うのは銅酸化物の超電導線材。セ氏零下196度に冷やすと電気抵抗がゼロになる。直流は送電ロスが少ない。冷却に必要な電力を差し引いても、1000キロメートル以上の送電で損失を0.5%まで抑えられる。

同大は最先端の超電導直流送電の実験施設を持つ。ケーブルは住友電気工業製で長さ200メートル。今夏の実験では2キロアンペアを送る。当面の目標は変電所まで送られてきた電気を直流に変え、近くのデータセンターなどに供給すること。データセンターの消費電力を最大40%減らせる可能性がある。

国内の総発電量は年間約1兆キロワット時で、約1億1400万キロワットの発電能力が必要。仮にすべての送電線を超電導に変えると送電ロスが約513万キロワット減る。原発5基分以上が不要になる。課題は現在のインフラを大きく変える必要がある点。山口教授らはデータセンターの専用線設置を突破口に、普及を目指す戦略だ。「韓国や中国、ロシアも実験を始めた。実用化で一番乗りしたい」

太陽光や風力発電など天候に左右される再生可能エネルギーも、つくった電気を大量にためられれば安定にできる。千葉大学の野波健蔵教授は一般的な電池と異なり、化学反応を使わず損失がほとんどない電力貯蔵装置「フライホイール(はずみ車)」を開発中だ。

フライホイールは発電した電気をもとに円盤を高速回転させ、回転エネルギーとして電気をためる。取り出す際は電線を接続し、回転が徐々に落ちながら電気に戻る。試作機は丸いすほどの大きさ。容器の中を鋼鉄の軸が付いた直径40センチ、厚さ15センチのアルミ製の円盤が回る。円盤は磁石の力で数ミリ浮いている。

現在は電磁石を使っているが、超電導材料をもとにした永久磁石に置き換える。円盤も樹脂製に変えて大型化し回転数を高めれば、1世帯の1日分の10キロワット時をためられる。野波教授は「メーカーと2年後にも風力発電と組み合わせたシステムの実現を目指す」と話す。

フライホイール研究を続けてきた鉄道総合技術研究所は、昨年6月に山梨県と共同開発で合意した。異色の組み合わせだが、太陽光や風力発電への応用を目指し、出力1000キロワットの太陽光発電パネルを使った実証実験に来年度から取り組む。フライホイールは再生可能エネルギー普及の鍵を握る技術になるとの期待が高まっている。

車載電池が進化、スマートグリッドの分散型電源にも

一方、車載用電池の進化を目指した取り組みも進む。画期的な電池ができれば電気自動車(EV)の航続距離も格段に延びる。スマートグリッド(次世代送電網)用の分散型電源にもなる。

4月、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」(佐用町)に、京都大学の松本紘総長、豊田中央研究所(愛知県長久手市)の滝本正民代表取締役、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長らが集まった。世界唯一の電池解析専用ビームライン完成を祝う式典に出席するためだ。

この施設はトヨタ自動車やパナソニックなど12企業と京大など12の大学・公的研究機関が加わるNEDOの次世代電池開発プロジェクトで使う。目標は2015年度に今のリチウムイオン電池より容量を1.5~3倍に高める。EVに載せると1回の充電で300キロメートルが走れる。ビームラインは電池が充放電する様子を原子レベルで解析でき、材料開発に役立つ。

「経験と勘で進めていた電池開発が大きく変わる。海外勢を3~4年は引き離せる」とリーダーの小久見善八・京大特任教授は自信たっぷりだ。

超電導現象が発見されて101年。電池発明からは212年たつ。次の飛躍は日本からというのが研究者の共通認識だ。

(黒川卓、新井重徳)

[日経産業新聞2012年5月18日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_