薄型テレビ価格に底打ち感 過剰在庫が解消
5月平均は4.9万円
薄型テレビの店頭価格の下落に底打ち感が出てきた。全国の主要な家電量販店の5月の平均販売価格は4万9600円と過去最低だった3月から15%上昇した。メーカーの過剰在庫が解消されつつあり「30型クラスを中心に激しかった安売り合戦が落ち着いてきた」(大手家電量販)。ヤマダ電機やヨドバシカメラは50型やインターネット対応機種など高付加価値品の販促に力を入れている。
調査会社のBCN(東京・千代田)が全国主要家電量販店の実売データを基に集計した。5月の平均価格は、販売競争が激しい年末商戦が始まる前の昨年10月と同じ水準まで回復した。薄型テレビの販売価格は下落傾向が続いていたが、4月も前月比で微増だった。
平均価格が上昇した理由についてBCNは「販売量が多い30型クラスの価格が上向いてきた」と指摘。「50型超の構成比や高機能テレビの需要が伸びている」という。
家電量販店では「メーカーが抱えていた過剰な在庫がはけてきた」(仕入れ担当者)との声もある。ヨドバシカメラでも「1台あたりの販売価格の下落は4月から下げ止まっている」という。
背景には消費者の需要と量販店の販売戦略の変化がある。昨年は地上デジタル放送対応による買い替え需要が中心だったため、サイズや機能より価格の安さが店頭の売り物になった。
しかし需要は一巡。量販店は「安値だけでは消費者を呼び込めない」と判断。50型超やネット対応の高機能テレビの販売を強化して、数年前に薄型テレビを購入した層の買い替え需要を刺激しようとしている。
ヨドバシカメラは大型テレビの販売コーナーを各店で拡大。旗艦店のマルチメディアAkiba(東京・千代田)では60型台や韓国・LG電子のネット対応型が「毎日数台のペースで売れている」という。BCNの調査でも5月の50型以上の販売比率は前年の2%から6%に上昇した。
最大手のヤマダ電機は、2012年度中に直営のほぼ全店のテレビ売り場をネット対応型に切り替える方針。店内の配線を整備することでネット対応テレビの販売促進活動をしやすくする。
ただ、単価は底打ちしても、小売店の売上高でみるとまだ厳しい状況が続いている。5月の速報ベースで業界2位のエディオンのテレビ売上高は前年同月比70%減。3位のケーズホールディングスも同71.5%減だった。
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