IMF「円相場、中期的観点から幾分過大評価」
対日審査声明を発表
国際通貨基金(IMF)は12日、2012年の日本政府などとの対日審査協議を終えて声明を発表した。日本経済については「東日本大震災の後、めざましい回復力・適応力を示し、現在着実に回復している。今後、景気回復は復興支出と力強い民間消費により持続する」との見方を示した。
また「円の為替レートは安全資産への逃避による資金流入などを反映し過去1年の間に切り上がり、中期的観点から幾分過大評価であることを示唆している」と指摘。12年の実質国内総生産(GDP)成長率は約2%、13年はわずかに減速して1.75%との見通しを示した。この間の総合インフレ率は約ゼロにとどまるとした。
また「長年の課題である高い公的債務、低成長とデフレに対処するため、日本は政策のシナジー(相乗)効果を得るべく、多方面にわたり強力に対処する必要がある」と強調。社会保障と税の一体改革に関して「法案の成立が財政再建へのコミットメントを示し、投資家の信頼を維持するために極めて重要」と指摘した。
日銀の金融政策については「14年末までに1%のインフレ目標を達成する可能性を高めるために、資産買い入れプログラムの拡大を含め、さらなる金融緩和を実施しうると考えられる。これにより、貸出金利をさらに引き下げられるとともに、現在の低金利環境における期待の重要性を踏まえると、インフレ期待を引き上げうる」とした。〔日経QUICKニュース〕