11年度、3年ぶり貿易赤字 過去最大の4.4兆円に
3月は826億円の赤字
財務省が19日発表した3月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は826億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。原油価格の高止まりや火力発電用燃料の需要増で輸入が伸びたことが背景にある。
輸入額は前年同月比で10.5%増の6兆2868億円となり、27カ月連続のプラスだった。東日本大震災の原発停止に伴い、火力発電向け需要が高まっている液化天然ガス(LNG)などの大幅な伸びが続いた。
輸出額は5.9%増の6兆2042億円。6カ月ぶりにプラスに転じた。米国への自動車の輸出増が続いたほか、洪水からの復旧需要があるタイなど東南アジア諸国連合(ASEAN)向けも好調だった。財務省は「東日本大震災で昨年3月に落ち込んだ反動もあった」(関税局)と説明する。欧州連合(EU)や中国向けの輸出は減少した。
同時に発表した2011年度の貿易収支は4兆4101億円の赤字だった。年度ベースの赤字は3年ぶりで、赤字額は比較可能な1979年度以降で過去最大。輸出額は前年度比3.7%減の65兆2819億円、輸入額は11.6%増の69兆6920億円だった。
輸出は震災後の部品不足や世界景気減速などの影響で落ち込む一方、輸入は原油高などを受けて増加した。LNGの輸入は数量、金額ともに過去最高を記録した。財務省は貿易収支の先行きについて「米国など海外経済の動向や為替相場に留意する必要がある」としている。〔日経QUICKニュース〕